日本トライボロジー学会(JAST)は2026年5月25日(月)~27日(水)の3日間,国立オリンピック記念青少年総合センター(東京都渋谷区)で「トライボロジー会議2026 春 東京」(実行委員長:松本 康司 氏,宇宙航空研究開発機構(JAXA))を開催,3日間で約180件の各種トライボロジーに関する講演・発表が行われ,約1,000名が参加した。
一般講演,一般シンポジウム
一般講演は,「機械要素」「境界潤滑」「固体潤滑」「シミュレーション」「潤滑剤」「トライボケミストリー」「バイオトライボロジー」「表面・接触」「表面処理・コーティング」「疲労」「分析・評価・試験方法」「摩擦」「摩擦材料」「摩耗」「流体潤滑」の分類で学術研究や実用技術に関する各種講演が行われた。
また,2025年度日本トライボロジー学会論文賞・技術賞受賞者による受賞講演も行われた。
シンポジウムセッションは,(1)境界潤滑の全体像を見極める―様々な研究者・技術者の立場から,(2)宇宙開発におけるトライボロジー,(3)“超”を目指す軸受技術の最前線,の三つのテーマでそれぞれ開催。シンポジウム(1)(写真1)では,青木 才子 氏(東京科学大学),田川 一生 氏(ENEOS)のオーガナイザーのもと,計12件の講演が行われた。
第70期定時社員総会・学会賞授賞式
26日(火)に開催された第70期定時社員総会では,2025年度(第70期)事業報告と会計報告,2026年度(第71期)事業計画について説明。また,定款(第4章 社員総会)の改定に関する審議のほか,名誉会員として江上 正樹 氏が推薦され,いずれも承認された。次期(第71期)役員選任では,会長は佐々木 信也 氏(東京理科大学)が再任,副会長は南部 俊和 氏(日産自動車)が新たに就任,三宅 晃司 氏(産業技術総合研究所)が再任,常務理事は田川 一生 氏(ENEOS)が再任となった。
佐々木 会長(写真2)は就任の挨拶で,「69期の江上 会長から学会の改革を進めてきました。財務状況があまり良くない状況が続いてきたため,ムダをなるべく排除してより効率的に会員の皆様に学会サービスを提供できるように改善をはかってきました。JASTが70周年を迎えたなか,71期は今後5年,10年,そして100周年に向けてJASTが学術界,産業界にどのように貢献できるか,サービスの向上をはかり,ある意味で攻めていくフェーズに入ったと認識しております。この71期の理事メンバーで,全力でJASTをより盛り上げていけるように活動してまいりたいと思いますので,皆様のご協力をお願いいたします」と述べた。
総会後,2025年度日本トライボロジー学会賞の表彰式が行われ,内藤 康司 氏,中 道治 氏,福井 茂寿 氏,三上 誠 氏の4名が功績賞を受賞したほか,論文賞4件(22名),技術賞4件(15名),奨励賞6名,教育貢献賞1名,学会活動貢献賞4名の表彰および,学生優秀プレゼンテーション賞9名,特別功労賞22名の受賞者の報告が行われた。
特別フォーラム:「JAST 70周年特別記念講演」,「パネルディスカッション」
学会賞表彰式後に開催された特別フォーラムでは,JAST 70周年特別記念講演として,木村 好次 氏(東京大学・香川大学 名誉教授,JAST名誉会員,写真3)が「日本トライボロジー学会創設70周年,そして……」の題目で,70周年を迎えたJASTの状況を振り返り,JASTがもつポテンシャルとしてトライボロジー会議の盛況や2006年に創刊した英文ジャーナル「Tribology Online」を挙げ,より確かな存在意義をもつ未来を切り拓くために,社会のための科学を目指した学術体系,研究者の心の動きに沿った研究理念,多様なスタンスが必要な会員としてのあり方について述べた。
また,森 誠之 氏(岩手大学 名誉教授,JAST名誉会員,写真4)が「トライボロジーを楽しむ」の題目で,50年間の体験の中で森 氏が刺激を受けた国内外のトライボロジストを紹介するとともに,トライボロジーを理解するために,動的な現象を丁寧に観察することの大切さや,力学的エネルギーが関与するトライボロジー現象を理解するために潤滑状態のその場観察がますます重要になること,新しい道を切り拓くには若い柔軟な思考と発想が大切になることなどを述べた。
パネルディスカッション「日本トライボロジー学会70年の歩みと100年に向けて未来を考える」では,松本 実行委員長の司会のもと,佐々木 信也 氏(東京理科大学,現JAST会長),江上 正樹 氏(NTN,第69期JAST会長),前川 覚 氏(名古屋工業大学),桑原 卓哉 氏(大阪公立大学),今 智彦 氏(福井大学)が,JAST 70年の節目にあたり,これまでの歩みと今後の展望について討論を行った(写真5)。
企業技術・製品展示会,公共会員の紹介,企業プレゼンテーション
会期中,企業技術・製品展示会場(写真6)では36社・大学が出展,パネルやカタログなどによる各種PRが行われた。また,今回から新たな試みとして,公共会員の紹介コーナーや,滑り出し角度(静摩擦)を当てるトライボロジー予想ゲームコーナーが設けられた。その他,創立70周年記念小冊子が展示・配布されたほか,「学会からのお知らせ」のコーナーでは,近々に発行を予定している「トライボロジー ハンドブック 第2版」のデモ版の展示・閲覧も行われた。
企業プレゼンテーション(写真7)では,Rtec-Instruments,出光興産,エリオニクス,花王,三洋貿易,高松帝酸,デュポンジャパン,東陽テクニカ,トヨタ自動車,トライボジャパン,ナノフィルムテクノロジーズジャパン,ニッペコ,パーカー熱処理工業,阪和興業,ブルカージャパン,堀場製作所の計16社が,企業紹介や製品紹介を行った。
「トライボロジー会議2026 秋 名古屋」は2026年9月9日(水)~11日(金)の3日間,名城大学(名古屋市天白区)で,「トライボロジー会議2027 春 東京」は2027年3月3日(水)~5日(金)の3日間,東京理科大学 葛飾キャンパス(東京都葛飾区)でそれぞれ開催される予定。(’26 6/3)









