ドイツの特殊化学品メーカー,ランクセスは,フランスのトタルエナジーズ社とバイオサーキュラー・スチレンの調達に関する協力関係を結ぶことを発表した。トタルエナジーズが使用するバイオサーキュラー・スチレンは,従来のスチレンとは異なり,パルプ製造の際の副産物として生成される樹脂由来のトール油をベースとしている。ランクセスはスチレンを使用して持続可能なイオン交換樹脂を製造しており,これらの製品は廃水処理や化学プロセス,食品産業で主に使用される。
スチレンはISCC(国際持続可能性カーボン認証)Plus規格のマスバランス方式に基づき,持続可能な原料としての認証を取得している。マスバランス方式においては,物理的に混合される認証原料と非認証原料は会計上では別の扱いになる。この方式により,企業は複雑な生産プロセスを通して持続可能な原料を文書化して追跡することができ,サプライチェーン全体を通してトレーサビリティを確立することができる。
ランクセスは,スチレンのほかにも化石原料と同等の持続可能な原料を多数調達している。また,2022年8月にサプライチェーンの上流・下流まで,バリューチェーン全体を2050年までにクライメイト・ニュートラルにする計画を発表している(スコープ3)。この計画に組み込まれる間接排出は特に購入原料からの排出で,物流から最終製品にいたるまでの排出も含まれている。自社の製造プロセスから発生する直接排出(スコープ1)および外部エネルギー源による排出(スコープ2)については,2040年までのクライメイト・ニュートラル達成に向けた目標を2019年に設定している。(’23 2/15)