トライボコーティング技術研究会の2026年度(令和8年度)第1回総会および研究会が,2026年6月12日(金)に理化学研究所 和光本所(埼玉県和光市)にて,会場およびオンラインを併用したハイブリッド形式で開催された。
冒頭,大森 整 会長(理化学研究所 主任研究員)の挨拶に続き,総会では2025年度の活動報告および決算報告,2026年度の活動計画案と予算案,ならびに運営体制の承認が行われた。
役員改選では,現体制の維持が承認され,会長に大森 整 氏,副会長に熊谷 泰 氏(ナノコート・ティーエス)と野村 博郎 氏(理化学研究所 大森素形材工学研究室 嘱託)がそれぞれ再任となった。
あわせて,第19回となる「岩木賞」の募集告知も行われた。例年通りの大賞,優秀賞,特別賞,奨励賞,事業賞,国際賞,功績賞に加え,前年度より新設された「環境賞」の各部門で募集が行われる。環境賞は,SDGsへの貢献や地球温暖化防止など,環境負荷低減に寄与する優れた技術を対象としている。
各賞の応募締め切りは2026年9月30日。受賞者の表彰式は,2027年2月19日(金)に開催予定のシンポジウム「トライボコーティングの現状と将来」において,表彰課題の記念講演とともに行われる予定。
総会後の研究会では,2件の講演が行われた。まず,DIC R&D統括本部の小寺 史晃 氏が,「ナノサイズ二硫化モリブデンの技術とトライボ用途への応用」と題して講演した。独自のボトムアッププロセスにより合成されたナノサイズ二硫化モリブデン(MoS₂)が,従来の粉砕品とは異なる独自の結晶構造(3R構造)を持ち,オイルやグリース,固体潤滑被膜において優れた分散性と摩擦低減効果を発揮する実証データが紹介された。
続いて,ダウ・ケミカル日本の大宮 尊 氏が,「ドープDLCコーティングと機能化コポリマーを組み合わせた新規潤滑システムの開発」と題し,欧州での研究成果を発表した。環境規制が強まるZnDTP(耐摩耗添加剤)の代替として,シリコンをドープしたDLC膜とアミン系機能化コポリマーを組み合わせることで、強固な保護膜(トライボフィルム)を形成し,劇的な摩擦・摩耗低減を実現する新しい潤滑メカニズムを解説した。
研究会終了後には交流会も開催され,最新技術に関する活発な意見交換が行われた。(’26 6/24)









