2024年12月4日

「トライボロジー会議2024 秋 名護」開催される

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日本トライボロジー学会(JAST)は2024年10月30日(水)~11月1日(金)の3日間,「トライボロジー会議2024 秋 名護」(実行委員長:澤江 義則 氏・九州大学)を開催した。

澤江 実行委員長は「春と秋に開催されるトライボロジー会議としては初めての沖縄での開催。会場となる万国津梁館(写真1)は,東シナ海に突き出した沖縄でも屈指の景勝地で,部瀬名岬の先端に位置し,三方を海に囲まれた開放感あふれるコンベンション施設。2000年7月に開催された「九州・沖縄サミット」の会場としても有名で,施設内にはサミット関連の記念展示も残されている。学術講演会や企業展示の合間に,青く美しい部瀬名岬のオーシャンビューをご覧いただきながら,リラックスした雰囲気で会期を過ごしていただきたい」と沖縄・名護での開催について会期前に語っている。

万国津梁館-トライボロジー会議2024 秋 名護
写真1 万国津梁館

今回は10のシンポジウムセッションで構成され,一般講演(写真2)では326の講演が行われ644名が参加した。

「表面・接触」,「分析・評価・試験方法」,「メンテナンス」,「バイオトライボロジー」,「潤滑剤」,「摩擦」,「摩耗」,「境界潤滑」,「マイクロ・ナノメカニズム」,「摩擦材料」,「疲労」,「機械要素」,「固体潤滑」,「表面処理・コーティング」,「トライボケミストリー」,「シミュレーション」,「加工・製造技術」,「流体潤滑」の各テーマを講演し白熱した質疑が行われた。

一般講演の風景-トライボロジー会議2024 秋 名護
写真2 一般講演の風景

またシンポジウムセッション(写真3)では,「ヤングトライボロジストシンポジウム」,「カーボンニュートラルに挑む自動車のトライボロジー技術の最前線」,「電動車用潤滑油最前線―EV,HEV用潤滑油の現状と今後の展開―」,「工作機械におけるトライボロジー技術の応用」,「炭素系硬質薄膜の潤滑油中・真空中におけるトライボロジー特性」,「高分子材料のトライボロジー技術の最前線」,「5th Japan-Korea Tribology Symposium:Automotive Tribology」,「水素エネルギーとトライボロジー」,「転がり疲れ研究の最前線」,「シールにおけるトライボロジー技術」が行われ,トライボロジー技術の最前線から人材育成のための教育まで幅広いテーマで活発な議論がなされた。

シンポジウムセッションの風景-トライボロジー会議2024 秋 名護
写真3 シンポジウムセッションの風景

初日夕方からのイブニングフォーラムでは「沖縄美ら海水族館におけるウミガメ飼育を通した研究および教育活動」と題し,絶滅危惧種にも指定されているウミガメをテーマに,沖縄美ら島財団 水族館管理センターの河津 勲 氏が,沖縄美ら海水族館でのウミガメ飼育に関する講演を行った(写真4)。

イブニングフォーラムの河津勲氏-トライボロジー会議2024 秋 名護
写真4 イブニングフォーラムの河津 勲 氏

会期中は「企業技術・製品展示コーナー」が設けられ,実際の製品やパネルを見ながら対面での製品説明や,ENEOS,パーカー熱処理工業,デュポンジャパン,ブルカージャパン,東陽テクニカ,エンバリオジャパンによるランチョンセミナーが行われたほか,VR体験コーナー企画が催された(写真5~7)。

VR体験コーナー-トライボロジー会議2024 秋 名護
写真5 VR体験コーナー
司会進行をする奥田 紗知子 氏-トライボロジー会議2024 秋 名護
写真6 司会進行をする奥田 紗知子 氏
東陽テクニカの講演風景-トライボロジー会議2024 秋 名護
写真7 東陽テクニカの講演風景

2日目の午後には特別講演2件が行われた。沖縄科学技術大学院大学(OIST)の銅谷 賢治 氏(写真8)からは,「楽しい大学のつくり方~OISTで拓く脳とAI研究~」と題し,沖縄のリゾート地に国際的で学術的な研究教育と沖縄の持続的発展をめざして2011年に開学したOISTで脳の学習の仕組みとAIの学習アルゴリズムの研究を展開し,研究者や学生を集めた新たな大学をゼロから立ち上げるなど,もっと楽しく先端的な研究のできる場をつくるにはどうすればいいかといったことが議論された。

特別講演の銅谷 賢治 氏-トライボロジー会議2024 秋 名護
写真8 特別講演の銅谷 賢治 氏

沖縄美ら島財団総合研究所琉球文化財研究室 室長の幸喜 淳 氏(写真9)からは,2019年に国指定史跡で世界遺産でもある首里城跡での火災により首里城正殿等を含む主要復元建物群が消失・損傷,現在,本格的な修理事業が行われている首里城の再建と美術工芸品の被害や修理の状況について詳しく講演された。

特別講演の幸喜 淳 氏-トライボロジー会議2024 秋 名護
写真9 特別講演の幸喜 淳 氏

その後,万国津梁館・サミットホールではエイサー,獅子舞,棒術など迫力ある伝統芸能から懇親会が始まった(写真10)。

懇親会での沖縄伝統芸能-トライボロジー会議2024 秋 名護
写真10 懇親会での沖縄伝統芸能

日本トライボロジー学会 会長の江上 正樹 氏(NTN)(写真11)は冒頭の挨拶で,「先日たまたまテレビで三線を世界中に送るという放送がありました。エイサーや獅子舞,棒術がテレビに流れていて遠い地域のことと見ていましたが,舞台で実物を見て,また特別講演で沖縄のことを知り私自身,身近なことと思うことができました。これも沖縄でトライボロジー会議を開催し,参加したことで体験できたものであり実行委員会の皆様のご尽力や努力に本当にありがたく感謝しています」と話した。

江上 正樹 氏(日本トライボロジー学会 会長)-トライボロジー会議2024 秋 名護
写真11 江上 正樹 氏(日本トライボロジー学会 会長)

澤江 実行委員長(写真12)は,「先週発生した台風が気になりましたが無事会議を進めることができました。これまでで最も遠隔地で開催されたにも関わらず,皆様のご支援とご協力のお陰で学術プログラムや企業展示がこれまでのトライボロジー会議と遜色なく開催することができ,644名の方々にご参加いただきました。実行委員を代表して心より御礼を申し上げます」と乾杯の挨拶をした。

澤江義則氏(実行委員長)-トライボロジー会議2024 秋 名護
写真12 澤江義則氏(実行委員長)

2025年は「トライボロジー会議2025 春 東京」を5月26日(月)~28日(水)に国立オリンピック記念青少年総合センター(東京都渋谷区)で,「トライボロジー会議2025 秋 函館」を10月8日(水)~10日(金)に函館アリーナ(北海道函館市)で開催する予定。(’24 12/4)

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