日本トライボロジー学会(JAST)は2022年11月9日(水)~11日(金)の3日間,「トライボロジー会議2022 秋 福井」(実行委員長:本田 知己 氏・福井大学)を開催,一般講演では51セッションで196件,シンポジウムセッションでは5テーマで31件の講演が行われ3年振りのリアル開催に約650名が参加した。
一般講演では,「潤滑剤」,「分析・評価・試験方法」,「機械要素」,「摩耗」,「加工・製造」,「摩擦」,「表面・接触」,「表面処理・コーティング」,「バイオトライボロジー」,「流体潤滑」,「マイクロ・ナノメカニズム」,「疲労」,「境界潤滑」,「摩擦材料」,「シミュレーション」の各テーマを講演し白熱した質疑が行われた。
またシンポジウムセッションでは,「自動車のトライボロジー技術の最前線」,「境界潤滑膜の現在と未来」,「シールにおけるトライボロジー技術」,「フラーレン添加油剤の将来展望」,「次世代教育について考える~他学協会との交流~」が行われ,トライボロジー技術の最前線から人材育成のための教育まで幅広いテーマで活発な議論がなされた。
初日夕方からのイブニングフォーラムでは,今年30周年を迎えた「日本海トライボロジー研究会」が行われた。北陸の日本海地域の企業,公設試,大学,高専に勤めるトライボロジストの集まりでトライボロジー分野を盛り上げる活動の歩みを創立メンバーの岩井 善郎 氏(福井大学)が紹介,また会員企業が話題提供を行った(写真1)。
会期中は「企業技術・製品展示コーナー」が設けられ,実際の製品やパネルを見ながら対面での製品説明や,島貿易,ブルカージャパン,堀場製作所,アントンパール・ジャパン,デュポンジャパン,山産,Rtec-Instrumentsによるプレゼンテーションが行われた。
2日目の午後には特別講演2件が行われた。福井県年縞博物館特別館長で福井県立大学客員教授の山根 一眞 氏(写真2)からは,「奇跡の湖,水月湖の年縞と年縞博物館の奮戦」と題し,歴史学に欠かせない年代決定の世界標準のモノサシに採用された「年縞」の魅力を,また福井大学基盤部門産学官連携本部特命准教授の青柳 賢英 氏(写真3)からは,「福井県製造の超小型衛星が切り拓く未来」と題し,宇宙のロマンを感じる「超小型人工衛星」の開発・製作とその魅力を講演した。
次に,日本トライボロジー学会会長の牧野 武朗 氏(三菱重工業)(写真5)は,「久しぶりの対面開催ですが,各講演会場を見ても熱く内容の濃い議論が行われていました。対面の開催自体が初めてという若手の方も“お酒を飲んでいるかのような明るい雰囲気でセッションを行うような”昔ながらのトライボロジー会議の伝統といった空気を楽しんで欲しいです」と語った。
2023年は「トライボロジー会議 2023 春東京」を5月29日(月)~31日(水)に国立オリンピック記念青少年総合センター(東京都渋谷区)で,「国際トライボロジー会議 福岡 2023(ITC Fukuoka 2023)」を9月25日(月)~30日(土)に福岡国際センター(福岡市博多区)で開催する予定。また2024年は「トライボロジー会議2024 春 東京」を5月27日~29日に,「トライボロジー会議2024 秋 名護」を10月30日~11月1日での開催を予定している。(’22 12/7)