三洋化成工業の持分法適用会社であるAPBは,全樹脂電池の量産のための第一工場である「APB 福井センター武生工場」の稼動開始にともない,開所式を行った。開所式は,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が拡大している状況を受け,感染拡大防止対策を徹底の上,社内関係者中心で執り行われた。
全樹脂電池は,活物質に樹脂被覆を行い,樹脂集電体に塗布をすることで電極を形成。独自の製造プロセスにより,従来のリチウムイオン電池よりも工程を短縮することで,製造コスト・リードタイムの削減を実現するとともに,これまでにない高い異常時信頼性とエネルギー密度を実現する。部品点数が少なくて済むバイポーラ積層型で,樹脂で構成しているため,電極の厚膜化が容易に行え,セルの大型化が可能で形状自由度が高いことも特長。
武生工場は,世界初の全樹脂電池の量産工場となり,従来のリチウムイオン電池工場とは大きく異なる特徴を持つ。廃液が出ないだけでなく,乾燥工程をはじめとする多くのプロセスを排除することで,使用エネルギーを削減することにも努めるなど,環境保護,保全効率の向上を重視した設計がなされている。2021年10月を予定している本格稼動に移行するべく,準備を進めていく。(’21 6/23)