2021年3月24日

研削加工の専門展示会「Grinding Technology Japan 2021」開催される

アーステック

2021年3月2日(火)~4日(木)の3日間,切削工具製造技術と研削加工技術に特化した専門展示会「第2回Grinding Technology Japan2021」(主催:日本工業出版,フジサンケイビジネスアイ(日本工業新聞社))を幕張メッセ国際展示場(千葉市美浜区)で開催し,3日間で1,695名が来場した。

国内外の研削盤や砥石を始め計測機器や周辺機器,工具製造に関する工作機械や素材と周辺機器などが数多く出展した。

会場では特別協力団体の砥粒加工学会による「2021年度先進テクノフェア(ATF2021)」を同時開催し,大学や研究機関による最新の研削加工や研削工具の計測・評価,レーザ加工,超精密加工・微細加工,環境調和型加工など研究室の技術展示や講演,パネルディスカッションが行われた。また特別協賛団体で,切削加工に関わる業界関係者が集まる「切削フォーラム21」は全国機械用刃物研磨協同組合,日本包丁研ぎ協会と協同で「研ぎサミット」と題したシンポジウムも開催した。

連日併設イベントとして基調講演やセミナーが開催された。3月2日には清水 伸二 氏(日本工業大学)によるパネルディスカッション「研削盤はどこに向かうのか」,岩井 学 氏(富山県立大学)による「研削加工への新技術の応用と将来動向」,松岡 甫篁 氏(松岡技術研究所)による「情報化時代における最新工具と工具研削技術」,3月4日には向井 良平 氏(元砥粒加工学会会長,三井精機工業)による「研削加工の社会への貢献(過去から学ぶもの,現在から将来への期待すること)」などが行われ多くの来場者が聴講した。

主催者WEBサイト(http://grind-tech.jp/2021/jp/)では町工場親善大使の羽田 詩織 氏が会場ブースを訪れ出展企業にインタビューをした動画が配信された。会場に来られない方々も,さも展示会場に来場しているように出展者が説明する光景を見ることが出来喜ばれた。この動画は会期終了後も当面の間HP上から閲覧することが出来る。

今回の展示会では,クーラント液の管理など潤滑管理や環境対応に関する次のような企業の出展が見られた。

研削盤のジェイテクトグループのブースでは,豊興工業が「消泡装置バブけス II」を出展。研削液の泡での困りごとを消泡剤レスで解消出来る。またCNKは高清浄度サイクロン装置により超硬・セラミックなどの非磁性体ろ過に最適な「高清浄度円形渦流クーラントシステム」を出展した.

平面研削盤や精密位置決め,クーラントシステムを製造販売する住友重機械ファインテックは,研削盤用ファインバブル発生装置「FINE GO」やマグネットセパレータを出展。「FINE GO」はクーラントタンクに追加設置するだけで,液中に長期残存するマイクロからナノサイズまでの超微細泡を生成する。負の電荷を帯び,汚れや油分を吸着・除去し洗浄する特性を持つ。砥石の目詰まりを抑え,クーラント液の腐敗や劣化も抑制する。

独自のエッジろ過技術を導入しOne Micron Filterで研削仕上げのコスト低減を実現するトランザーフィルター日本は,ろ過技術を全面にアピールした。エッジフィルトレーションにより,ダーティオイルは各エレメントの中心に向かって押し込まれ1μmまで100%ろ過が可能。このレベルまで研削油をろ過することにより,より早いサイクルタイムでより早い表面仕上げを実現。更に,微粒のろ過と研削油の温度制御により研削油自体の寿命も大幅に延びる「トランザーろ過装置V4 InLine ADO/QD」などを出展した。

職場環境改善や産廃物削減製品などの開発販売をするクール・テックでは,独自の電解技術を用い,高pHのアルカリイオン水(pH13.2)を効率よく低コストで製造することができる「高pHアルカリイオン水生成装置」を出展。環境性能を高めた仕様になっており,成分は水と食品添加物由来の成分のみで,廃水になる酸性水や塩素ガスなどを一切発生させず生産現場での様々な場面で活躍が期待できる。3月4日には特設会場でアルカリイオン水を使うことで得られる洗浄効果の説明と,現場での事例を交えたセミナー「研削・切削加工へのアルカリイオン水の活用」が行われた。

環境装置を製造販売する三鷹工業所は,精密ろ過装置やタンク内スラッジ除去用簡易型クリーナー「カスポンクリーナー」,簡易型ろ過装置「カスポンフィルター」などを出展。

研削・切削工具をはじめ,生産財の総合サプライヤーKamogawaは,水溶性専用簡易式ろ過装置「エコクリーン」を出展。同社ではユーチューブで「Kamogawaものづくりチャンネル」を開設しており実演動画やインタビュー映像などを公開している。

切粉処理や濾過装置を開発・製造するBUNRIは,磁性体用研削盤機種として,「フェニックス」「SLG」「大和」「コンパクト」を展示。「フェニックス」はスラッジ除去率10μm,97%を達成する。「大和」は,濾材のスチールボールを強力磁石で着磁し,磁化されたスチールボールの空間を液が通過する際に濾過される。

独自開発でスラッジの補修効率を高めた京滋興産は,「リクレアン」シリーズを展示。フィルター本体と濾布を脱着可能な構造にすることで,濾布のみの交換で繰返し使用が可能となる。管体内で使用中にエア逆洗浄をすることで,付着物を剥離除去し,濾布の連続使用が可能になり,コスト削減に大きく貢献する。

同展示会は2年ごとの開催を予定しており,次回は2023年3月8日(水)~10日(金)まで,幕張メッセでの開催を予定している。(’21 3/24)

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