経済産業省は,火力発電所における常時監視制御の遠隔化に向けて,関連規程類の改正や事業者向けの遠隔化導入に係る手引き書を2020年度内に策定・公表すると発表した。
現在,一定規模等の火力発電所は,異常時に確実な早期発見・制御が必要とされることから,発電所構内において技術員の常時監視・制御が求められている。しかし,IoT技術等の進展や活用により,発電所構外からの遠隔での常時監視・制御が可能となるとともに,保守・管理の高度化も期待される。同省は,一定の留意事項の下で,常時監視・制御の遠隔化は可能との検討結果を公表,遠隔化を検討してきた。
同省の見直し案では,導入に当たっての環境整備として,電気設備に関する技術基準を定める省令第46条第1項に「確実な常時監視及び異常時の安全・確実な制御・停止措置が行える発電所の場合,同一構内等での常時監視を求めない旨」を追記する。また,電気設備の技術基準の解釈にも,「汽力・ガスタービン発電所の常時監視制御を遠隔化の要件(異常時に安全かつ確実に制御・停止できるよう措置等)」を追記する。加えて,異常時・災害時の対応など遠隔化導入事業者向けの留意点,あらかじめのリスク評価,実施行政手続き等をまとめた手引きを策定する。今回の省令改正により,監視の拠点を発電所の構外に置き,複数の発電所を管理することも可能となるため,事業者の保安・監視コストの削減が期待される。(’21 3/3)