内閣府と経済産業省中小企業庁は,中小企業技術革新制度(日本版SBIR制度)の見直し案をまとめた。同制度は,中小企業等経営強化法に基づき,中小企業や起業家に対して,研究開発に関する国の補助金・委託費等の支出機会の増大を図るとともに,その成果の事業化を支援する省庁横断的な制度で,アメリカで導入されていた中小企業によるイノベーション促進のための制度Small Business Innovation Researchを参考に創設された。しかし,支出目標の対象分野の偏り・戦略性の欠如,支援フェーズ等の偏り,連続的な支援の不足,効果向上の統一ルールやプログラムマネージャーの不在といった課題があるため,制度の見直し案が作成された。
制度の見直し案は,重点を「中小企業の経営強化」から「イノベーションの創出」にシフトし,内閣府を中心とした省庁横断の取り組みを強化する。ターゲットは,技術シーズを有する中小企業,特に創業間もないスタートアップ企業とする。補助金などの執行に関する統一ルールを定める交付方針を策定し,実行性の担保のための措置を講ずる。省庁ごとの特定補助金などの支出目標策定の考え方を見直す。制度を効果的に実施するためのプログラムマネージャーを育成,配置する。シード期から事業化に至るまでの継続的な支援を措置するため,ステージゲート審査(各フェーズ終了後に次の支援フェーズに進むか否かを決定)を導入する。(’19 11/27)