出光興産は,2021年2月18日(木)にオンラインで「2020年度 切削・熱処理研究会」を開催した。
開催の挨拶で同社潤滑油二部潤滑技術二課長の半田 豊和 氏は,「CO2排出削減は世界的な流れでありEV化へのシフトは益々加速されると思う。弊社での燃料事業は大きな転換期を迎えカーボンニュートラルに沿った様々なエネルギー供給手法を検討している。一方潤滑油事業では,カーボンニュートラルを含めSDGsに沿った技術開発が今後益々進むものと思われる。例えばEV車の普及に向け材料,形状,硬度の変化や精度の向上など要求特性の変化に対応した油剤の開発。IoTを活用したスマートファクトリーの要となる半導体やロボット分野の部品加工に最適な油剤開発に注力していく。更には単なる油剤開発に留まらず最近普及しつつあるシミュレーション手法の一助となるようなデータの提供にも力を入れていく。」と潤滑油事業の抱負や展望を話した。
今回は出光興産の担当者から切削油と熱処理油に関して2件の講演を行った。営業研究所加工油グループの北村 友彦 氏からは「高引火点切削油を用いた生産性向上の取り組み」と題し,不水溶性切削油の高引火点ニーズの高まりから,安全性だけでなくミスト・油煙の低減など作業環境の向上などについて水溶性切削油や従来油との比較を紹介した。
また潤滑油二部潤滑技術二課の市谷 克実 氏からは「焼入れ強烈度H値を用いた硬度推定と管理への応用」と題し,焼入液の冷却能を示す焼入れ強烈度H値やJIS銀棒試験から求めたH値など,H値を用いた硬度推定と管理への応用について紹介した。
例年は12月に切削油研究会,2月に熱処理研究会を開催していたが,新型コロナの影響で今回初めての試みとしてオンラインで切削・熱処理研究会として開催した。(’21 3/10)