従来の有機ELディスプレイの赤色発光素子には,主にリン光発光材料が使用されている。リン光発光材料は,電力を光に100%変換することができ,発光効率を向上させることができるが,素材にレアメタルを使用しているため高コストであり,また,発光スペクトル幅が広く色純度が低いことが課題となっている。TADF材料を活用した技術は,電力を光に100%変換できることに加え,発光スペクトル幅の狭い蛍光材料を組み合わせることで高色純度を達成する特長を有し,また,素材にレアメタルを使用しないため,材料コスト削減を図ることができる。
同技術は有機ELディスプレイの低コスト化や省電力化,および広色域化に寄与する。今後はモバイルやテレビ用途などへの採用を目指し,開発を推進する。(’19 12/4)