日本トライボロジー学会(JAST)は2025年10月8日(水)~10日(金)の3日間,「トライボロジー会議2025 秋 函館」(実行委員長:内舘 道正 氏・岩手大学)を開催した。
一般講演は,「潤滑剤」,「分析・評価・試験方法」,「表面処理・コーティング」,「機械要素」,「摩耗」,「トライボケミストリー」,「境界潤滑」,「流体潤滑」,「シミュレーション」,「固体潤滑」,「表面・接触」,「疲労」,「摩擦材料」,「バイオトライボロジー」の各テーマを,シンポジウムセッションでは,「最新のトライボロジー実用化技術とその技術開発」,「メンテナンス・トライボロジーの新展開」,「ヤングトライボロジストシンポジウム」,「トライボロジーにおける非定常問題」,「深化する高分子トライボロジー」,「金属加工プロセスにおけるトライボロジーの最前線」,「シールにおけるトライボロジー技術」,「カーボンニュートラル実現に向けたトライボロジーの戦略」,「“e-駆動系”/駆動系の変革を支えるトライボロジー ―潤滑油技術と摺動部品の電動化に向けた取り組み―」,「スポーツにおけるトライボロジー」の10セッションが行われ,トライボロジー技術の最前線から人材育成のための教育まで幅広いテーマで活発な議論が行われた。348件の講演数と683名の参加者数は,秋の地方大会としては近年最大となった。(写真1)
会期中メインアリーナでは「企業展示・製品展示コーナー」(写真2)が設けられ,36社による製品やパネルでの製品説明,パーカー熱処理工業,ダイナックス,bpジャパン,デュポンジャパン,ブルカージャパン,ニッペコ,エスティーエム,東陽テクニカ,三洋貿易,マイクロ・イクイップメントによるランチョンセミナー(写真3)が行われた。
今回初の試みとしてWeb会議ブース(写真4)が設けられ,講演の合間に休憩エリアと共に手持ちの仕事やWeb会議,商談などに活用された。
また,会場ではカーリングを室内体験型に開発した「カローリング」の体験ゾーン(写真5)が設けられトライボロジーを学ぶことができるVR(Virtual Reality)空間の体験企画と共に賑わった。
2日目の午後には特別講演が行われた。北見工業大学 工学部教授でスポーツ科学センター客員研究員の桝井 文人 氏,はこだて未来大学 システム情報科学部教授の竹川 佳成 氏(写真6)が,「カーリングをもっと強く,もっと身近に,カーリングを支援する技術の研究,その面白さと難しさ」と題し,刻一刻と変わる局面を瞬時に判断して勝利に繋がる一投を選択するカーリングの試合展開分析や戦術に関わる要素の測定,戦術を中心とした競技支援技術など「カーリングを科学する」共同研究プロジェクトの紹介や最近の研究動向と共に研究成果について講演した。
その後懇親会が行われ,佐々木 信也 会長(東京理科大学)(写真7)は,「このように多くの方々が一堂に会し,講演発表以外の場でも情報交換ができることこそ学会活動の最も重要な意義であると感じています。どうぞ今宵も活発な交流を行い有意義な時間をお過ごしください。」と挨拶した。続いて,大泉 潤 函館市長の来賓の挨拶に続き,乾杯の挨拶では内舘 実行委員長(写真8)が,「前回に続き,今回もこのような形で盛会に開催できましたことを大変うれしく思っております。準備にご協力くださった企業の皆さま,そして各会場で運営を支えてくださった多くの方々に心から感謝申し上げます。また,先ほどご講演いただいた桝井 先生,竹川 先生の素晴らしいお話にも深く感謝申し上げます。このように素晴らしい会となりましたことを実行委員会一同うれしく思っております。明日も引き続きどうぞよろしくお願いいたします。」と挨拶した。
2026年は「トライボロジー会議 2026 春 東京」を5月25日(月)~27日(水)に国立オリンピック記念青少年総合センター(東京都渋谷区)で,「トライボロジー会議 2026 秋 名古屋」を9月9日(水)~11日(金)に名城大学天白キャンパス(名古屋市天白区)で開催する予定。また2027年は「ITC Himeji 2027」を9月19日~24日に開催の予定となっている。(’25 11/12)









