ダイキン工業と東京大学は,両組織の包括的な共同研究および人材交流や東京大学関連ベンチャー企業との協業を,高度なレベルで推進する「産学協創協定」を締結した。未来技術の創出に向けた共同研究などを通じて,未来社会において重要性が高まる「空気の価値化」を軸にイノベーションを生み出し,複雑な社会課題を解決し,新たなビジネスを創出していく。
ダイキン工業は,グローバルに事業展開する空調メーカーとして,空調ビジネスの未来を見据えた新技術やサービス・ソリューションを開発し,新たなビジネスモデルの構築を急ぎ,オープンイノベーションを掲げ,積極的な産学連携を行ってきた。一方,東京大学は,国際連合が採択したSDGs の 17の目標達成に向けて,誰もが活躍できるインクルーシブな社会づくりをめざす未来社会協創(FSI:Future Society Initiative)を実現しようとしている。その中で,地球的課題とされる「環境」「エネルギー」「健康的な生活」と密接につながる「空気」をテーマとして,グローバル展開を視野に協業できるパートナーを探索していた。同協定は,東京大学の高い問題意識にダイキン工業が応え,両組織のトップ同士が深く共感し,実現した。
同協定の趣旨に基づき,両者は「未来ビジョンの協創」「未来技術の創出」「ベンチャー企業との協業を通じた新たな価値の社会実装」の3つの協創プログラムを実施する。同時に,従来の産学連携から大きく踏み込み,人材に関わるさまざまな仕組み・制度を設け,両組織の人材が自由に交流し,刺激を与え合い,新たな知や技術,ビジネスが生まれやすい環境を作っていく。同協定の期間は,2018年12月から10年間で,拠出する資金は100億円規模を予定している。
また,ダイキン工業は大阪大学とも情報科学分野を中心とした包括連携契約を締結した。2017年7月からの10年間,ダイキン工業が大阪大学に総額約56億円を提供し,大阪大学の研究者とダイキン工業の技術者による共同研究を含めた連携プログラムを新たに実施する。
さらに同志社大学とも環境課題をテーマにした実践的研究開発をめざし,包括的連携協力に関する協定書を締結した。同志社大学内に「同志社-ダイキン『次の環境』研究センター」を設立し,CO2の回収・分解・再利用技術の実用化や,空調機のさらなる高効率化に取り組む。また,共同研究を通じた協創イノベーション人材の育成も進めていく。協定の期間は2020年3月から10年間,ダイキン工業から拠出する資金は10億円規模(初年度は設備投資を含む2億円規模)を予定している。(’20 4/8)