ENEOSとPreferred Networks(以下,PFN)は,石油精製・石油化学プラントを自動運転するAIシステムの常時使用をENEOS川崎製油所石油化学プラント内のブタジエン抽出装置で開始し,手動操作を超える経済的で高効率な運転を達成したことを発表した。
同AIシステムは,大規模かつ複雑であり,長年の経験に基づいた運転ノウハウが求められるプラントを自動運転するシステムとして,ENEOSとPFNにより共同開発された。同開発は人の技量に左右されないプラント安定運転の確立による保安力の向上に貢献するものであり,制御対象としている要素数(13個)や,予測に用いる入力センサー数(363個)において,AI技術を用いた実際のプラントでの自動運転の事例においては最大級の取り組みとなる。
2021年に行われた,両社によるブタジエン抽出装置での2日間の自動運転実施後も試験運転を重ね,その過程で,プラント自動運転AIシステムによってプラント内の温度,圧力,流量および製品性状などの13個の運転重要因子の常時監視と9個のバルブ同時操作を行うことで,装置全域に対して原料処理量の変更などに伴う運転変動を安定化させると共に,手動操作を超える経済的で効率的な運転を達成した。
同活動では,ブタジエン抽出塔と並行して常圧蒸留装置などの主要プラントの自動最適化AIシステムの開発も実施しており,今後,ENEOSの他製油所への展開並びに,ソリューションパッケージとして一般販売することを計画している。(’23 9/13)