出光興産と東レは,バイオマスナフサを原料としたバイオマスプラスチックのサプライチェーンを構築し,バイオマスナフサ由来のスチレンモノマー(バイオマスSM)の製造ならびにバイオマスSMを原料としたアクリロニトリルブタジエンスチレン(バイオマスABS樹脂)を製造することに合意した。
ABS樹脂は,SM,アクリロニトリルおよびブタジエンから作られる熱可塑性ポリマー。硬度と耐衝撃性の特性を有しており,自動車,電子機器,玩具などのさまざまな分野で使用されている。SMメーカーである出光興産が,マスバランス方式にてバイオマスSMを原料として製造し,プラスチックメーカーである東レが,千葉工場においてバイオマスABS樹脂を製造する。同樹脂の製造は国内初の事例で,2023年10月の製造開始を予定している。
マスバランス方式は,原料から製品への加工・流通工程において,ある特性を持った原料(例:バイオマス由来原料)がそうでない原料(例:石油由来原料)と混合される場合に,その特性を持った原料の投入量に応じて,製品の一部に対してその特性の割り当てを行う手法。
バイオマスナフサは,植物由来の原材料などから製造されているため,石油由来のナフサと比べてCO₂排出量を抑制することができる。両社は今回の取り組みを通して,カーボンニュートラル・循環型社会へのマテリアルトランジションを目指すとしている。(’23 3/22)