2023年6月14日

「トライボロジー会議2023 春 東京」開催される

アーステック

日本トライボロジー学会は2023年5月29日(月)~31日(水)の3日間,国立オリンピック記念青少年総合センター(東京都渋谷区)で「トライボロジー会議2023 春 東京」(実行委員長:上村 秀人 氏,出光興産)を開催,3日間で約180件の各種トライボロジーに関する講演・発表が行われ,約800名が参加した。

一般講演,一般シンポジウム,特別フォーラム

一般講演は,「機械要素」「境界潤滑」「現象・理論」「固体潤滑」「シミュレーション」「潤滑剤」「表面処理・コーティング」「表面・接触」「バイオトライボロジー」「疲労」「分析・評価・試験方法」「マイクロ・ナノメカニズム」「摩擦」「摩耗」「摩擦材料」「流体潤滑」の分類で学術研究や実用技術に関する各種講演が行われた。また,2022年度日本トライボロジー学会論文賞・技術賞受賞者による受賞講演も行われた。

シンポジウムセッションは,(1)“超”を目指す軸受技術の最前線,(2)表面テクスチャによるトライボロジー特性制御の最近の成果と今後の展開,(3)水素が関わるトライボロジーの諸現象,(4)自動車用動力伝達系のトライボロジー,(5)自動車用エンジン油最前線―自動車の低燃費,カーボンニュートラルに向けた潤滑油の貢献―(写真1)の五つのテーマでそれぞれ開催された。

シンポジウムセッション-トライボロジー会議2023 春 東京
写真1 シンポジウムセッション

(5)自動車用エンジン油最前線―自動車の低燃費,カーボンニュートラルに向けた潤滑油の貢献―では,ガソリンエンジン油,ディーゼルエンジン油,水素エンジン関連,の三つのセッションに分け,基調講演として古野 志健男 氏(SOKEN)による「カーボンニュートラルに向けた世界の自動車パワートレインの最新動向」のほか,計14件の講演が行われた。

30日(火)に開催された特別フォーラムでは,オンライン同時配信によるハイブリッド形式にて2件の講演が行われた。1件目の長谷川 晶一 氏(東京工業大学 科学技術創成研究院 未来産業技術研究所 准教授)による「バーチャルリアリティにおける摩擦のリアリティの実現とメタバースへの応用の期待」では,仮想空間における摩擦感覚の重要性と摩擦の再現手法について解説した。2件目の三木 哲也 氏(公正研究推進協会 理事/電気通信大学 名誉教授)による「事例に学ぶ研究不正の実情と対応」では,研究倫理面から不正な研究開発の実情と対策について実例をもとに解説した。

第67期定時社員総会・学会賞授賞式

30日(火)に開催された第67期定時社員総会では,2022年度(第67期)事業報告と会計報告,2023年度(第68期)事業計画について説明し,承認された。その後,次期(第68期)役員を選出し,梅原 徳次 氏(名古屋大学)が第68期会長に就任した(写真2)。梅原新会長は就任の挨拶で,「学会活動は会員企業のボランティアによってなされているもので,その中でいかに会員サービスの向上に努めていくかが課題であります。学会のリソースを考え,少ない人数でも持続的な発展を求めていけるようにしたいと思っております。今年の秋にはITC Fukuokaはじめ大きな行事が予定されています。かつ,JASTは世界のトライボロジーの分野で非常に認められている組織であります。この組織において持続的な発展が進むように尽力していきたいと思います」と述べた。

梅原会長 就任の挨拶-トライボロジー会議2023 春 東京
写真2 梅原会長 就任の挨拶

また,杉村 丈一 氏(九州大学 名誉教授)が名誉会員に推薦され,承認された。

「2022年度日本トライボロジー学会賞」の表彰式では,加納 眞 氏,服部 仁志 氏,堀切川 一男 氏の3名が「功績賞」に,「論文賞」,「技術賞」,「奨励賞」各賞受賞者の表彰および「学生奨励賞」受賞者の報告が行われた。

企業技術・製品展示会

会期中,展示会場では,企業技術・製品展示コーナー(写真3)が設けられ,約50社が出展,パネルやカタログなどによる各種PRが行われたほか,展示会場内で「企業プレゼンテーション」(写真4)が開催され,Rtec-Instruments,テクノポート,島貿易,ブルカージャパン,山産,堀場製作所,ケン・オートメーション,IHI検査計測,東陽テクニカ,デュポンジャパン,パーク・システムズ・ジャパン,物産フードサイエンスが,企業や製品についてのプレゼンテーションを行った。(’23 6/14)

企業技術・製品展示コーナー-トライボロジー会議2023 春 東京
写真3 企業技術・製品展示コーナー
企業プレゼンテーション-トライボロジー会議2023 春 東京
写真4 企業プレゼンテーション

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