2023年4月26日

フックスジャパン,「フックス インダストリアル代理店総会」開催される

アーステック
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フックスジャパンは,2023年3月24日(金),赤坂インターシティコンファレンス(東京都港区)で「フックス インダストリアル代理店総会」を開催した。

代理店総会は昨年から実施しているが,昨年は新型コロナウイルスの影響でオンライン開催となり今年が初めて会場での開催となった。工業用潤滑油や切削油などを販売する全国の代理店や協力会社など28名が参加した。

冒頭,塩田 博篤 社長の開催挨拶から始まり,売上傾向やカーボンニュートラルとサステナビリティへの取組み,フックスグループの資金力と技術力を活かした日本での開発力向上により,目まぐるしく変わる環境に対応していることを発表した(写真1)。また,水溶性製品の継続や不水溶性新製品の導入,植物性由来の製品の順次導入やDMG森精機とのパートナーシップなど今年度の方針などを紹介した。

塩田社長の挨拶-2023年フックス インダストリアル代理<br />
店総会
写真1 塩田社長の挨拶

続いて,大谷 聡 氏(インダストリアル事業部長)による2022年の振り返りと業績の推移についての説明があった(写真2)。新たな販売チャネルや積極的な新規獲得活動により,前年度より10%ほど販売量が増加した。2023年の基本方針として,短期的戦略では改正PRTR導入後の受け皿として同社の豊富な水溶性や非該当製品での対応,不水溶性や重切削油に関しては新製品の導入で課題を解決していく。中・長期的な戦略としては,サステナビリティへの取組みや生産現場における自動化・DXへの対応,風力発電・食品・医療業界などの成長産業へ参入し製品の導入を行っていることなどを説明した。

2023年の基本方針等を説明する大谷部長-2023年フックス インダストリアル代理店総会
写真2 2023年の基本方針等を説明する大谷部長

続いて,安川 雅章 氏(DMG森精機 商品部 DMQPグループ)によるFUCHSとDMG森精機の関係と加工事例の紹介が行われた。2017年からフックスとは技術パートナーシップを結んでおり,DMG森精機の欧州各工場で使用する潤滑油剤を管理していることや,日本でも2022年よりフックスジャパンの潤滑油を採用しており,DMG森精機内でも高く評価していることなどを紹介した。

その後,北村 武志 氏(技術部 部長)が「FUCHSのサステナビリティと環境規制のトレンドについて」の取組みについて説明した。エコロジカルサステナビリティという考えのもと,グローバルにバリューチェーン全体との連携を図る3段階の活動を展開していくことを説明した。2020年にはグローバルでGate-to-Gateの取組みにより,CO₂-neutral 2020を達成した。これは多くの拠点における自社設備での再生可能エネルギーの使用と廃棄物削減による取組み,また気候保護プロジェクトへの投資による補償の結果である。現在は2025年までの中期計画のステージに入り,Cradle-to-Gate CO₂-neutral 2025というCO₂削減プロジェクトを推進中だが,潤滑油製造では自社工場における製造過程よりもベースオイルや添加剤,梱包容器などの精製や製造,流通過程などの工程におけるCO₂排出量が多く,削減のためにサプライヤーにも協力してもらうよう日本でもコミュニケーションをとり始めている。さらに長期計画として“Cradle-to-Grave(ゆりかごから墓場まで)”という考えのもと,すべてのプロセスを対象としたCO₂削減に取り組む。特にポイントとなるのがリユースやリサイクルで,ユーザーが使用した後の廃棄物から原料への転換の仕組み作りについて説明した。

新製品の紹介として,高価格帯製品の性能を標準的な価格帯で提供することをコンセプトとした新不水溶性切削油剤の「エコカット6000NASシリーズ」の第一弾となる,「エコカット6017NAS」を発表した。「エコカット6017NAS」はロータリーガイドブッシュ仕様向け,鉄系被削材(得にステンレス鋼)に効果を発揮する製品であり,PRTR非該当かつ塩素化パラフィン含有油剤の代替品として推奨され,現行の「エコカット600NASシリーズ」と比較して性能が向上していることを説明した。

その他,スペシャリティグループの柳下 大輔 氏(セグメントマネージャー)より特殊潤滑剤について,鍛造離型剤や特殊潤滑剤,セメント,火力発電,製紙会社向けの潤滑剤や風力発電向けの商品を紹介した。また,定番商品の「グライトモシリーズ」や「セプラチンKGシリーズ」などの採用事例について紹介した。さらに,「エコクール IGS 300」と「エコクール IGM 5000」に関するレビューも行われ,それぞれの製品の特長や採用事例などについて紹介した。

最後に,大谷 氏による2022年販売量コンテストの結果と2023年の販売コンテストの対象商品について発表した。また,提案製品の採用事例として万越(愛知県名古屋市)と新進商事(長野県上田市)の代理店二社による事例紹介が行われた。

フックスジャパンはグローバル製品の導入だけでなく,顧客目線に立った日本での製品開発,継続的な新製品の市場投入を続けていくために,代理店および顧客との対話を大事にしていきたいと語っている。目まぐるしく変化する厳しい情勢が続く中,揺るぎない事業部方針を掲げ,潤滑油剤市場での存在感をアピールしていく。

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