2023年3月8日

ENEOS,CO₂フリー水素サプライチェーン構築に向けた豪州実証プラントの運転開始

アーステック

ENEOSは,独自に開発した低コスト型有機ハイドライド電解合成法(Direct MCH®)を活用して,水素キャリアの一種であるメチルシクロヘキサン(MCH)を製造する実証プラントを豪州クイーンズランド州ブリスベンに建設,2023年2月から運転を開始した。

実証プラントでは,太陽光発電に適した豪州クイーンズランド州において,中型電解槽と250kWの太陽光発電設備を組み合わせてグリーンMCHを製造する。2023年2月から9月までの約8ヵ月間の実証期間中に,製造効率最大化を目的として,亜熱帯環境下における電解槽の耐久性確認や太陽光の発電量変動に合わせてプラントの運転を調整した際の電解槽の最適な運転・制御技術の開発を行う。また,実証期間中に燃料電池自動車(FCV)400~600台分の水素約2~3t相当のMCHを製造して日本に輸送し,同社中央技術研究所の敷地内にて,MCHから水素を取り出す予定となっている。

今回,技術開発に成功した150kW級の中型電解槽(2021年の実証で用いた電解槽の約200倍)は面積3m²の電極を積層したもので,工業的に使用されるサイズで最大に近い電極におけるMCH製造の効率化を実現した。同社は,実証によって得られた知見を活用し,2025年度をめどに商用化の際に使用する5MW級の大型電解槽(同実証プラントで使用する中型電解槽の30倍以上)の開発を目指すとしている。(’23 3/8)

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