2022年2月7日(月),「トライボロジー研究会第32回講演会」(運営委員長:杉村 丈一 氏,九州大学教授)がWeb会議システム(Zoom)を使用したオンライン方式で開催され500名以上が参加した。
同研究会は協同油脂が支援している活動で,今回は世界的な潮流であり社会経済を大きく変革し,産業構造の大転換と成長を生み出すチャンスと位置付けられている「カーボンニュートラルへの挑戦」としてのトライボロジーがテーマとなった。
杉村 委員長の開会挨拶,キーノートスピーチに続き,担当運営委員の足立 幸志 氏(東北大学教授)はCASE STUDYについてと題し今回のテーマについて,「カーボンニュートラル実現のための産業構造の変革が求められる燃料アンモニア産業,水素産業,原子力産業,洋上風力産業,自動車・蓄電池産業,半導体・情報通信産業,船舶産業,航空機産業等の分野へのトライボロジーの重要性が増している。今回はエネルギー高効率利用のためのトライボロジーに関する話題を提供頂き,カーボンニュートラル実現につながるトライボロジー技術の紹介を通じて,あらゆるものづくりの基盤のひとつであるトライボロジーが,カーボンニュートラルに向けて果たすべき役割について議論する機会にしたい」と説明した。講演内容は以下の通り。
- KEYNOTE SPEECH
- 「カーボンニュートラル達成のために自動車開発に求められることは」 佐川 琢円 氏(日産自動車)
- CASE STUDYについて 足立 幸志 氏(東北大学)
- CASE STUDY:SESSION I CO₂排出量の少ない原料・加工・エネルギー
- 「歯切り加工における鋼材の被削性に及ぼすSi,Al添加の影響」 間曽 利治 氏(日本製鉄)
- 「完全ドライ潤滑を実現するダイレス成形用工具の開発」 南部 俊和 氏(日産自動車)
- 「風力発電装置主軸の信頼性向上への取組み」 小林 康裕 氏(ジェイテクト)
- CASE STUDY:SESSION II CO₂排出量原単位の低減技術【電動化におけるCO₂排出量原単位の低減】
- 「カーボンニュートラルに貢献する潤滑油の低粘度化」 新吉 隆利 氏(トヨタ自動車)
- 「電動車両向けトランスアクスル用フルードの性能向上技術」 松原 和茂 氏(出光興産)
- 「電動自動車駆動モータ用高速回転玉軸受技術」 吉川 武文 氏(日本精工)
- 「自動車の電動化に対応したボールねじ用グリース開発」 河内 健 氏(協同油脂)
- CASE STUDY:SESSION III CO₂排出量原単位の低減技術【トータルエネルギーマネージメントによるCO₂排出量原単位の低減】
- 「超長寿命自動車用円すいころ軸受の開発」 藤原 宏樹 氏(NTN)
- 「再生潤滑油基油を利用した重量車ディーゼルエンジン油によるカーボンニュートラルへの貢献」 内藤 康司 氏(潤滑油協会 潤滑油品質委員会)
- 特別講演:「ワクワクドキドキ心豊かな未来のか・た・ち!」 石田 秀輝 氏(地球村研究室) (’22 3/2)