ドイツの特殊化学品メーカー,ランクセスとカウテックス・テキストロン社は,数年間にわたり,熱可塑性プラスチックを使用した電気自動車向けバッテリーハウジングの設計・製造に関する共同研究を行ってきたが,今回,実現可能性調査において,量産可能な技術を用いた試作品を開発した。この試作品は,長さ及び幅がそれぞれ約1,400mm,重さが数十キログラムで,技術的にも精巧な大型のオールプラスチック製ハウジング部品となる。
現在,高電圧バッテリー用のハウジングは,主にスチールまたはアルミニウムの押出成形品で作られているが,金属製ハウジングは,サイズ,コンポーネントの数,および製造や組立工程の多さによって,コストが非常に高くなる。一方,プラスチックは設計の自由度を最大限に活用でき,ファスナーや熱管理コンポーネントなどの機能を統合することで,バッテリーハウジングの個々のコンポーネント数を大幅に削減することができる。これにより,組立や物流の作業が簡素化され,生産コストを削減することが可能となる。また,プラスチックには耐食性や電気絶縁性などの特性があり,例えば,システムがショートするリスクを低減する。さらにプラスチックは密度が低く,軽量化が可能なため,ハウジングの大幅な軽量化につながり,特に電気自動車の分野でメリットがある。
両社は引き続き,コンポーネントの生産と構造設計の最適化に共同で取り組んでいく。(’22 1/26)