ドイツの特殊化学品メーカー,ランクセスは,自動運転に有効な熱管理性能を備えたレーダーセンサーの新しいコンセプトを開発した。運転支援システムは,次世代の自動車における主要機能として,その重要性が益々高まっている。特に,車両周囲360度の監視は,レーダー波によって可能となり,レーダーセンサーは,距離制御,車線変更監視,衝突回避,死角監視システムなどにおいて,重要な役割を果たす。
センサーは防塵・防水のため,完全に密閉されたシステムとして設計されるが,内部からの効果的な放熱を困難にし,その結果,電子機器の性能およびセンサーの耐久性を損なう可能性がある。そこで同社は,金属製の冷却素子と熱伝導性プラスチックを組み合わせて熱を逃がすコンセプトを開発。車両の外方向に向けられるフロントカバー(レドーム)には,レーダー波に対して高い透過度を提供するポリブチレンテレフタレートを採用した。アセンブリ全体の中で最も複雑な部分となる背面カバーは,ポリアミド6と金属冷却素子を用いたプラスチック金属化合物(ハイブリッド)技術で製造される。これにより,エンジニアは射出成形プロセスにおいて自由度の高い設計が可能となる。また,ハイブリッド設計のもう一つの利点は,金属製の冷却素子が電磁放射に対してレーダーセンサー内の電子機器を遮蔽することであり,これは,その機能が熱の外部放射によって損なわれないことを意味する。
また,個々のセンサー部品は,一体化されたスナップフィットとホットリベットを使用して組み立てられ,従来までのネジを使用する方法に比べ,はるかに安価で時間の短縮にもつながっている。(’21 9/15)