島津製作所は,仏石油メジャーのTOTAL(以下トタル社),仏ポー大学,スペインのオビエド大学とクリーンエネルギー分野における包括的な共同研究に関する協定を締結した。4者は2年以内にバイオ燃料の研究に役立つ「含酸素成分分析システム」の開発を目指す。同システムは,島津製作所のガスクロマトグラフィー技術に,トタル社らが共同で保有する特許技術を組み合わせた画期的な分析装置となる。
バイオ燃料には未知の含酸素成分が多数含まれているため,効率的な成分特定が技術的に難しく,業界標準となる分析手法が確立されていない。トタル社、ポー大学、オビエド大学の3者は「ガスクロマトグラフで分離した化合物を元素レベルに分解し,質量分析計などで検出する」という革新的な技術で特許を取得しており,この特許技術を用いれば,従来は数時間かかっていたバイオ燃料の含酸素成分の特定をわずか数十分に短縮することが可能となる。また,作業者の技術に関わらず安定した測定結果も得られる。島津製作所は,同システムがバイオ燃料の普及に向けた研究開発や生産改善に大きく貢献するとしている。(’21 1/27)