2019年4月1日(月)~5日(金)の5日間,ドイツ・ハノーバー国際見本市会場で,最新の産業技術・製品が一堂に会する世界最大のB to B専門展示会「ハノーバーメッセ2019」が開催された。メインテーマは「Integrated Industry-Industrial Intelligence(インテグレイテッド・インダストリー-産業インテリジェンス)」で,製造現場やエネルギー産業におけるオートメーションやロボティクスなど,効率化や製造工程の自動化,予知保全,5Gの産業活用といった最先端の技術が全27ホールで紹介された。
プラスチックモーションカンパニーのイグスでは,初日にドイツ・メルケル首相がブースを訪れ(写真1),同社が2年後の商品化を目指す家庭用協働ロボットの試作機を視察した。このロボットは樹脂製のギヤやベアリングを使用することで軽量化や低コスト化とともに,メンテナンスフリーを実現するもの。
同社のブースでは,少量多品種生産となる介護用自動車のステアリングやギヤ部品などを耐摩耗性を備えた樹脂で製造する3Dプリンタによる部品製造サービス(写真2)や,ユーザーがインターネットで好みの部品を選択し低価格のロボットがネットショッピングで注文できる「RBTX.com」などを発表した。
今回目玉の一つである「5G Arena」では,世界に先駆けて5G(第5世代移動通信システム)」を使用したロボットや画像処理など製造業での活用に関連した実演(写真3)が公開された。またホールでは自動化された工場を再現し自動運転されるラインにタイヤや部品を無人の電気自動車が自動給電しながら搬送し,締め付け作業をする人間とロボットが協働作業をするといった工程(写真4,5,6)が見られた。
昨年に続き,日本能率協会(JMA)とロボット革命イニシアティブ協議会(RRI)が共同でジャパンパビリオンを設置し,I Smart Technologies,アビームコンサルティング,Edgecrossコンソーシアム,京都機械工具,情報通信研究機構,日本電機工業会とともに日本のコネクテッド・インダストリー技術やソリューションなどIoT関連技術やサービスを海外にアピールした(写真7)。
また,昨年までジャパンパビリオンで出展していた鋳金加工業のジャストは,ハノーバーメッセ出展をきっかけに海外との商談を得たことから,海外受注を目指す全国鍍金工業組合連合会の会員企業に呼びかけ,会員企業8社で出展,日本の高い鋳金技術をPRした(写真8)。潤滑油やグリースの給油・給脂装置やろ過装置,試験機,コーティング関連各社の出展も多く見られ,グリース給脂機器のリューベは現地法人が中心となり今回初出展となった。
ハノーバーメッセ2019の出展社数は6,500社・団体,来場者数は21万5,000人,日本企業の出展は82社・団体と昨年の79社を上回る出展数となった。
2020年は4月20日~24日の開催を予定している。(’19 5/15)