出光興産は2017年3月10日(金),都内で「2016年度出光テクニカルマスターITM(Idemitsu Technical Master)認定式」を行い,2016年度は,燃料油部門で69名(1級9名,2級16名,3級44名),潤滑油部門で104名(1級4名,2級30名,3級70名),合計173名(1級13名,2級46名,3級114名)が認定された。
ITM資格制度は,販売店営業担当者の燃料油・潤滑油の商品知識や提案力強化を通じて,ユーザーの課題解決に役立てることを目指し,2009年度より導入した同社独自の資格制度。燃料油・潤滑油の各部門を1級・2級・3級に区分し,それぞれの基準(国家資格の有無,経験年数,研修の受講歴など)を満たし,筆記試験に合格すると認定される。これまでに燃料油部門で累計285名,潤滑油部門で469名,計754名が認定され,ITMsと呼ばれる外販担当者の全国組織で活躍している。
同認定式の冒頭挨拶で,川崎 武彦 上席執行役員は,2016年の国際情勢について「2016年11月に開催されたOPEC総会での8年ぶりの減産合意を契機として,原油価格は50ドル~55ドルに大きく上昇した。また,2016年10月には国際海事機関(IMO)による船舶用燃料硫黄分の規制が2020年から強化されることが決定した。これにより燃料油に限らず潤滑油を含めた世界的な石油製品の需給や市況に様々な影響を与えると想定される」と説明。国内の需給動向については「国内の燃料油市況は需要減少に伴う販売競争の一層の激化により,原油価格や需給環境を反映しない異常な状態が継続している。石油製品需要は,自動車の燃費向上や産業用の燃転の進展により,2016年4月~12月の燃料油需要は98.2%と引き続き減少している。潤滑油需要は100.8%とほぼ横ばいだが,省エネや省コストを実現する高付加価値商材は今後も需要が見込まれる」と説明した。
販売戦略については,「単純に燃料油・潤滑油を販売するだけではなく,効率的な営業体制の構築や,更なる営業活動における創意工夫によって勝ち残っていかなくてはならない。出光グループでは,簡易熱診断を活用して工場に直接足を踏み入れることで,現場での新たなニーズの発掘と様々な商材の提案活動を推進している。引き続き,熱診断,需要家セミナー,実機・実車テスト等,他社にはない提案型販売を通じ,お客様ニーズを的確に捉え,納得・信頼を積み重ねていただきたい」と述べ,出席者を激励した。また,燃料油収益に依存しない収益構造を目指すとして,「簡易熱診断を入り口とした潤滑油販売や機器販売をはじめとする高付加価値商材への取り組みを強化していく」と述べた。(’17 3/29)