2026年3月11日

トライボジャパン,日本初の再精製基油(RRBO)を用いた革新的レーシングオイルを発表

レーシングエンジンオイル「Moty’s」をブランド展開するトライボジャパンは2026年2月13日(金),大阪オートメッセ2026にて,日本で初めて再精製基油(RRBO:Re-Refined Base Oil)を採用したレーシングエンジンオイルの開発を発表した。

世界中でカーボンニュートラルへの取り組みが加速する中,潤滑油業界においても環境負荷低減は避けて通れない課題となっている。トライボジャパンが展開するブランド「Moty’s」は,これまで過酷なモータースポーツの現場で培った独自の潤滑技術を武器にAPI規格等の既存の枠組みに捉われない高性能オイルを提供してきた。

現在,日本の潤滑油リサイクルにおける深刻な遅れが課題とされている。欧州では回収された使用済みオイルの5割以上が基油として再精製されているのに対し,日本ではそのほとんど(約93%)が燃料として燃焼処理され基油への再精製は実質0%という現状がある。

同社ではこの現状を打破し,“モータースポーツの持続的発展に資する環境性能向上”を目的として,マレーシアのペンタス・フローラ社との提携により,高品質なRRBOを日本市場に導入することを決定した。

同社代表取締役会長の丸山 秀一 氏(写真1)はRRBO採用の背景や意義を次のように語った。「我々はこれまで,摩擦の領域において非常にユニークな提案を行ってきました。我々はその歩みをさらに一歩進める新たな挑戦を発表します。主力製品であるM110シリーズに,日本で初めて再精製基油を採用し,新世代のエンジンオイルとして刷新いたします。」

丸山代表-トライボジャパン,再精製基油(RRBO)を用いたレーシングオイルを発表
写真1 丸山代表

丸山 氏はRRBOが高度なマテリアルリサイクル技術を用いたベースオイルであり,原油から作られるバージンオイルと同等の品質を実現していることを強調した。また,北米や欧州に比べて遅れている日本のアジアにおける立ち位置を危惧し,「日本におけるモータースポーツに関わる企業として,技術も環境対策も牽引するという決意」を語った。

続いて実際にRRBO配合オイルをいち早くテストしたレーシングドライバー,佐々木 雅弘 選手(写真2)が登壇。佐々木 選手はトヨタ自動車GRと共に水素カローラなどのカーボンニュートラル車両の開発にも携わっている。「結論から言うと,いい意味で何も変化がありませんでした。水素エンジンもそうですが,環境に配慮した技術でありながら,従来のガソリンエンジンと変わらないパワーを出すことが重要です。今回のオイルも,レーシングオイルとしての性能は維持しつつ,環境に貢献できる素晴らしい提案だと感じました」と語った。

佐々木選手-トライボジャパン,再精製基油(RRBO)を用いたレーシングオイルを発表
写真2 佐々木選手

次に製造面でのパートナーである中外油化学工業の石川 啓介 社長(写真3)は,「日本のリサイクル状況が欧州に比べて遅れている現状から“トライボジャパンが日本でも推進していく”という熱い思いに共感し,原料の保管や製品開発,製造において全力でサポートする」と述べ、タンクの増設などの設備投資にも着手していることを表明した。

石川社長-トライボジャパン,再精製基油(RRBO)を用いたレーシングオイルを発表
写真3 石川社長

同プロジェクトの技術的責任者である佐藤 剛久 氏(写真4)からは,RRBOの定義と性能について詳細な解説が行われた。

佐藤氏-トライボジャパン,再精製基油(RRBO)を用いたレーシングオイルを発表
写真4 佐藤氏

「ろ過」や「脱水」を行っただけの再処理油とは根本的に異なり「原油からバージンオイルを作るのと同じ工程(蒸留・精製)を回収した油を用いて行う」ことがRRBOの本質であり,これにより高品質な基油が誕生する。

RRBOとは-トライボジャパン,再精製基油(RRBO)を用いたレーシングオイルを発表
図1 RRBOとは

電動化の進展により燃料需要が減少する一方で,潤滑油の需要は急激には減らない。従来のように燃料生産の副産物として潤滑油を得ることが難しくなる将来を見据え,「潤滑油から潤滑油を作る」循環システムの構築が不可欠である。

日本における廃油の回収率は82%と高いものの,その用途の93%が「再生重油による燃料処理(燃焼)」である。対照的に欧州では54%がRRBOとして再利用されている。

 表1 日米欧の使用済み潤滑油処理比較
日米欧の使用済み潤滑油処理比較-トライボジャパン,再精製基油(RRBO)を用いたレーシングオイルを発表
 出典:令和3年度(2021年度)燃料安定供給対策に関する調査等事業(潤滑油の安定供給に向けた原料確保の多様化に関する調査・分析事業)調査報告書,2022年3月に記載のデータを元に作成

今回採用したマレーシアのペンタス・フローラ社製RRBOは,API規格Group II+に相当する高度精製基油。硫黄分が極めて低く,飽和分が高い(90%以上)という特徴があり,バージンオイルと同等,あるいは項目によってはそれ以上の酸化安定性や粘度特性を示す。

 表2 各国RRBOの性能プロット
各国RRBOの性能プロット-トライボジャパン,再精製基油(RRBO)を用いたレーシングオイルを発表
 出典:令和3年度(2021年度)燃料安定供給対策に関する調査等事業(潤滑油の安定供給に向けた原料確保の多様化に関する調査・分析事業)調査報告書を元に作成
 表3 ペンタス・フローラ製RRBO
ペンタス・フローラ製RRBO-トライボジャパン,再精製基油(RRBO)を用いたレーシングオイルを発表

「モータースポーツは巨大な実験場であり,ここで耐久性や安全性を証明し,環境性能においても世の中をリードしていく」と締めくくった。

RRBOの供給元であるマレーシアのペンタス・フローラ社リム・アイク・フー 代表とペンタスフローラジャパン 代表取締役社長の川上 理世 氏(写真5)からは,次のように同社を紹介した。

リム氏(左)と川上氏(右)-トライボジャパン,再精製基油(RRBO)を用いたレーシングオイルを発表
写真5 リム氏(左)と川上氏(右)

「マレーシア最大級の廃棄物管理企業で,自社で回収船や180台以上の車両を保有し,高度なラボと製造プラントを運営しています。日本市場にRRBOを導入できることを嬉しく思います。これは自動車性能の向上と環境保護を両立させる重要な一歩」と述べ,日本におけるサステナブルな未来への貢献に意欲を示した。

質疑応答では,「従来のバージンオイルと比較して製造工程におけるCO₂排出量を約6割削減できる見込みである。原料コストは若干上昇するものの,普及を優先させるため,製品価格への転嫁はトライボジャパン側で吸収する方針だ。粘度調整のためにバージンオイルを併用する場合もあるが,主要製品では5割以上のRRBOを使用し極力その比率を高めていく計画である。現在はマレーシアからの輸入だが,将来的には日本国内で回収したオイルからRRBOを製造するプラントの構築も視野に入れている」と今後の展望を語った。(’26 3/11)

登壇者による集合写真-トライボジャパン,再精製基油(RRBO)を用いたレーシングオイルを発表
写真6 登壇者による集合写真
RRBOオイル-トライボジャパン,再精製基油(RRBO)を用いたレーシングオイルを発表
写真7 RRBOオイル

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