出光興産と昭和シェル石油は,協働事業を強化・推進することに関して,2017年5月9日(火)付で趣意書を締結したことを発表した。両社は2015年11月に,5年以内に年間500億円のシナジー効果を目指すとしており,経営統合に先行して2017年5月から協業を順次開始し,原油調達や石油精製,物流事業などで3年以内に年間250億円以上のシナジー効果を目指す。
両社は,アジア屈指の競争力を持つ企業グループとして,環境変化を先取りし,弛まず自己改革に取り組み、果敢に次代の創造に挑戦することを同協業におけるアライアンス・バリュー(価値観)とし,アライアンス名を「Brighter Energy Alliance(ブライターエナジーアライアンス)」と定めた。
アライアンスの内容は,(1)国内石油事業における統合シナジーの追求,(2)シナジー目標,(3)重複分野における事業戦略のすり合わせ,(4)アライアンスグループ及び統合新社の戦略検討,(5)人的融和の推進,(6)お客様視点での新たなサービス開発,(7)社会貢献活動の一層の推進,(8)低炭素社会実現への取り組み推進,を挙げている。
シナジー効果250億円のうち,原油調達で10億円,最適生産計画システム一体化による収益改善,石油製品・半製品の相互融通で120億円,精製コスト削減等,副資材や工事・工事資材の共同調達で70億円,出荷基地の相互利用,共同配送(海上,陸上)で40億円,共同調達(ITシステム,コーポレート関連費等)で10億円を見込む。
2017年度の具体的な着手例としては,プラント定期修繕時の協力として,6~7月に出光興産から昭和シェル石油へ,4月・10~11月に昭和シェル石油から出光興産へそれぞれガソリン,軽油を供給する。また,輸出入の最適化として,昭和シェル新潟,出光興産北海道の各輸入基地を相互活用する。2017年5月積み以降は原油タンカーの共同配船を進める。最適生産計画システム一体化については,出光興産3製油所,昭和シェル石油4製油所の統合最適生産計画システムを同年9月末までに構築し,同年10月から運用開始・システム検証を行う。共同調達については,石油精製プロセス用触媒及び薬品,燃料油用添加剤,熱交換器などの機材,社内ネットワーク費用などの共同調達を契約更新ごとに順次実施していく。出荷基地の共同利用と共同配送については,同年10月から初期段階として,東亜石油と出光興産東京油槽所(相互),昭和シェル四日市と出光興産愛知製油所(相互),出光興産大井川油槽所と昭和シェル清水油槽所(相互),北海道・高松・長崎・鹿児島・沖縄(昭和シェル受け),高崎・松本・山口(出光興産受け),海上輸送効率化を進め,約1,100千kLを対象に物流効率化を図る。
経営統合後に両社で重複する事業分野(原油調達,精製,供給,物流,販売,コーポレート部門)については,経営統合実現までの間に両社で戦略のすり合わせを行い,協議・検討する。販売事業については,各社の体制を直ちに変更するものではなく,当面は個社を基本に据えた事業活動を行うとしている。また,人的融和の推進として,すでに両社社員800名が参加している各階層でのワークショップを再開させ,今年度中に1,500名まで拡大するとしている。(’17 5/17)