日本トライボロジー学会は2017年5月15日(月)~17日(水)の3日間,国立オリンピック記念青少年総合センター(東京都渋谷区)で「トライボロジー会議 2017 春 東京」(実行委員長:長富 悦史 氏,昭和シェル石油)を開催,3日間で約210件の各種トライボロジーに関する講演・発表が行われた。
15日(月)に開催された特別講演「髪とトライボロジー~毎日触れる髪の毛の秘密~」では,鷲家 真吾 氏(MORESCO)が,髪の質感や状態は,年齢や男女の違いだけでなく,髪の持つトライボロジー的な要素(髪の表面状態や髪の損傷レベル等)が大きく関係するとし,髪の特性をトライボロジー的な観点から解説した。
16日(火)に開催された特別フォーラム「月面探査チーム HAKUTO~宇宙ロボットの開発課題とトライボロジー~」では,吉田 和哉 氏(東北大学 大学院)が月面探査レース「Google Lunar XPRIZE」に日本から唯一参戦しているチーム「HAKUTO」に関して,また宇宙ロボットにおけるトライボロジーの課題として,駆動部や摺動部でこれまで行われてきた潤滑対策や今後の月惑星探査ロボットにおける課題等について講演した。
一般セッションでは,「学術」(摩擦・摩耗,現象・理論,流体潤滑,機械要素,境界潤滑,摩擦材料,表面形状,接触,分析・評価・試験,表面処理・コーティング,潤滑剤,その他),「産業機械」(機械要素,潤滑剤,表面形状,表面処理・コーティング,流体潤滑,その他),「輸送機器」(摩擦材料,機械要素,摩擦・摩耗,その他),「医療・生体」(摩擦・摩耗,表面処理・コーティング),「その他実用化技術」の分類で学術研究や実用技術に関する各種講演が行われた。
シンポジウムセッションは,「変速機:自動車の走りと燃費を革新する変速機,そして支えるトライボロジー」(写真1),「分子シミュレーション:トライボシミュレーションの最前線~分子からマクロへ」,「添加剤:新規ポリマー添加剤による潤滑剤の性能向上」,「ころがり疲れ:ころがり疲れに関する最近の研究成果と今後の展望」,「倫理:安全と研究倫理・技術倫理について考える」の5つのテーマで開催された。
16日(火)には第61期定時社員総会が開催され,次期(第62期)役員を選出し,中村 隆 氏(名古屋工業大学)が第62期会長に就任した(写真2)。「2016年度日本トライボロジー学会賞」の表彰式では,岩井 善郎 氏,竹林 博明 氏,村木 正芳 氏の3名が「功績賞」に,また「論文賞」,「トライボロジーオンライン論文賞」,「技術賞」,「奨励賞」,「学生奨励賞」「特別功労賞」の各賞受賞者が表彰された。
また,会期中,企業技術・製品PRコーナー(写真3)が設けられ約50社が出展,パネルやカタログなどによる各種PRが行われたほか,昼休みには展示会場にて,企業や製品の紹介を行う「企業プレゼンテーション」(写真4)が開催された。
「トライボロジー会議 2017 秋 高松」は,2017年11月15日(水)~11月18日(土)の4日間,サンポートホール高松(香川県高松市)での開催を予定している。(’17 5/31)