2025年10月29日

出光興産,Zenith,グローバルコード,低摩擦ソリューションの事業化に向け基本合意書を締結

アーステック
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出光興産は,韓国のZenith Corporation(以下,ゼニス社)と,その日本総代理店であるグローバルコード(以下,GC社)の3社で,出光の潤滑剤と,ゼニス社のPEEK(耐熱性,耐摩耗性に優れた高機能プラスチック)を用いたコーティング(以下,PEEKコーティング)を組み合わせた世界初の低摩擦ソリューションの事業化に向け,基本合意書を締結した。

ゼニス社は,韓国・梁山に本社を置くコーティング専門企業で,自社ブランドallive®シリーズとして,用途に応じた各種コーティングを展開しており,主に調理器具向けのコーティングに強みを持つ。

GC社は,大阪に本社を置く貿易商社で,化学,電子材料,半導体などの輸出入やOEM,食品輸入など,幅広く事業を展開,PEEKコーティング事業にも注力している。

出光は,潤滑剤とコーティングとの併用による低摩擦化の実現を目指している。コーティング素材として広く使われてきたテフロンは,環境中で分解されにくいPFAS(Per-and Polyfluoroalkyl Substances)の一種であり,廃棄後も土壌や水中に長期間残留するため,環境への影響が懸念されている。代替素材として,非PFASで耐熱性,耐摩耗性に優れた高機能プラスチックPEEKに着目したが,PEEKは基材への密着が難しいことから,コーティングとしての利用は限定的だった。この課題に対し出光は,基材の表面に微細な凹凸を形成するアンカー構造を用いて高い密着性を実現するゼニス社の技術を採用,また,長年培ってきた潤滑剤の設計・処方技術を活かし,PEEKの特長を最大限発揮させる高機能潤滑剤を開発した。これにより自動車や産業機械などの工業分野において,潤滑剤とPEEKコーティングを併用することで,さらなる低摩擦化を実現する。なお,コーティング用途向けに塗料化されたPEEKの国内への輸入および基材へのコーティング施工は,ゼニス社の委託を受けてGC社が担う。

出光は,環境負荷低減と高機能化を両立させる新たな低摩擦ソリューションとして,国内外の潤滑剤供給先に対し,PEEKコーティングの提案と,それに適した潤滑剤の販売を進め,2035年までに事業規模100億円の達成を目指す。(’25 10/29)

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