2025年2月14日(金),パシフィコ横浜 会議センター(横浜市西区)で「トライボロジー研究会 第35回講演会(運営委員長:杉村 丈一 氏,九州大学 名誉教授)」が開催され,当日は約270名が参加した(写真)。
同研究会は協同油脂が支援している活動で,今回のテーマは「サーキュラーエコノミーとトライボロジー」。大量生産,大量消費型の社会活動の結果,気候変動の問題や天然資源の枯渇および生物多様性の破壊などの課題が深刻化し,新しい社会システムとして循環経済(サーキュラーエコノミー)への移行が求められている。トライボロジーにおいても,潤滑油のリサイクルをはじめとする3R(リデュース,リユース,リサイクル)技術の開発や,摩擦の低減による機械効率の向上や摩擦面の最適化による材料効率・生産効率の向上など,トライボロジーが大きく貢献してきた分野であり,サーキュラーエコノミーの実現に向けてその役割はさらに増すものと思われる。同講演会では,トライボロジーとサーキュラーエコノミーとの関連を幅広く捉え,その取組みの具体例が紹介された。当日の講演内容は以下のとおり。
- KEYNOTE SPEECH
司会:杉村 丈一 氏- 「コマツにおけるリマンビジネスの概要」 植山 将宣 氏(コマツ)
- CASE STUDY:SESSION I リサイクル技術
司会:足立 幸志 氏(東北大学 教授)- 「再生エンジンオイルの検討」 植松 裕太 氏(トヨタ自動車)
- 「製鉄所の廃油再利用による環境負荷低減への取り組み」 鈴木 祟仁 氏(JFEスチール)
- CASE STUDY:SESSION II サーキュラーエコノミーと潤滑技術
司会:鷲津 仁志 氏(兵庫県立大学 教授)- 「炭素循環に対応したグリースの開発」 廣岡 岩樹 氏(協同油脂)
- 「省電費のための低粘度減速機油の開発」 石神 和訓 氏,前田 誠 氏,加藤 豪 氏(ジヤトコ),小松原 仁 氏,佐々木 涼 氏(ENEOS)
- 「冷間圧延時の摩擦面における量子ドットを活用した潤滑油膜厚さ分布の測定」 志村 眞弘 氏(日本製鉄)
- 「寿命予測を高精度化するための解析技術の開発」 東谷 裕子 氏,河鰭 実昌 氏(デンソー),Marcus Björling 氏,Andreas Almqvist 氏(Luleå University of Technology)
- CASE STUDY:SESSION III サーキュラーエコノミーと寿命予測技術
司会:中野 健 氏(横浜国立大学 教授)- 「ディーゼル機関のピストン温度推定と寿命予測技術」 三田 拓朗 氏(いすゞ中央研究所)
- 「循環型社会に貢献する転がり軸受の材料疲労診断および修復技術の開発」 小林 大輔 氏(日本精工)
- 「X線回折による転動疲労の評価」 嘉村 直哉 氏(NTN)
- 特別講演
司会:西岡 岳 氏(福井工業大学 教授)- 「今後の宇宙ビジネスの展望」 牧野 隆 氏(IHI / IHIエアロスペース) (’25 3/5)