ジェイテクトは,グリース潤滑での高速回転に対応した,工作機械主軸用軸受「ハイアビリーJFAST™」を開発した。
工作機械主軸用軸受は高速回転が求められるため,通常はオイルエア潤滑が採用されるが,機械稼働中は常にエアを使用するため消費電力が大きくなるという課題がある。この課題に対し,同社の,製品と製造設備に関する要素技術や知見を生かした保持器設計技術により,グリース潤滑で対応できる高速回転領域を拡大し,省エネさらにはCO₂排出量削減を実現するソリューションとして同製品が開発された。
同製品は,グリース潤滑用に最適設定したPEEK樹脂製の保持器を採用し,高速性と低昇温性に優れる。アンギュラ玉軸受では,世界初のグリース潤滑でdmn値180万を達成(同社調べ)(dmn値:軸受の回転性能を表す指標で,軸受ピッチ円径(mm)×回転速度(min⁻¹))。軸受けの昇温は従来品比30%低減し,グリース寿命は約20%向上した。円筒ころ軸受では,グリース潤滑でdmn値150万を達成。軸受の昇温は従来品比約40%低減し,グリース寿命は約20%向上した。
同社は,これら2つの軸受を採用することで,#40サイズで20,000min⁻¹の回転が可能な主軸を提案。これにより,主軸の潤滑方式をオイルエア潤滑からグリース潤滑へ置き換えることができ,主軸エア消費量を約60%削減できる,としている。(’24 12/25)