NSKメカトロニクス技術高度化財団(理事長 内山 俊弘,日本精工相談役)は,2023年度の研究助成対象17件,教育助成対象2件,集会助成対象4件を決定し,2024年3月14日(木)に,日本精工本社で助成金交付式と懇親会を開催した。
2023年度の助成額は,それぞれ研究開発助成3,373万円,教育助成500万円,集会助成200万円で総額4,073万円。
同財団は,日本精工とその関連企業が出捐するもので,メカトロ技術の発展を目的に1988年に設立され,2010年11月より公益財団法人に移行し改称した。
主な活動内容は,(1)メカトロニクス技術の高度化に関する研究を対象とした「研究助成」,(2)2012年度から開始し,高専を対象とする「教育助成」,(3)成果発表の国際大会などに対する「集会助成(技術集会助成)」の3点。また研究対象は,(1)トライボロジー,(2)センサー,(3)アクチュエーター,(4)軸受,直線運動機構,(5)運動及び動力伝達機構とその要素,(6)機械の精密運動制御,(7)工作機械及び加工,(8)ロボット機構と制御,(9)メカトロニクス技術の半導体産業,医療機器産業,環境産業,エネルギー産業,輸送機器産業などへの応用の9点となっている。
設立以来,これまでに664件の研究助成,56件の教育助成を行っており助成総額は約12億271万円である。
2023年の助成対象として,研究助成には17件が決定した。トライボロジー関連では「酸化物超薄膜コーティングのトライボロジー特性と機械要素への応用」(塩田 忠 氏・岡山大学 学術研究院 環境生命自然科学学域 准教授),「Tribological properties of functionalized carbon nanotube additives in conductive grease」(Shahira Liza Binti Kamis 氏・マレーシア工科大学 マレーシア日本国際工科院上級講師/福田 応夫 氏・同教授),「SWCNTをテンプレートとする一次元BNNT ヘテロ構造によるDLC膜の高温トライボロジー特性の向上」(張 鋭璽 氏・名古屋大学大学院工学研究科 マイクロ・ナノ機械理工学専攻 助教)の3件が決定。2023年度の応募助成研究課題の傾向としては,昨年度に引き続き発展が目覚ましいロボット機構と制御,メカトロニクス技術の産業への応用分野の比率が高くなっている。
教育助成には,一関工業高等専門学校,北九州工業高等専門学校の2校が決定した。
交付式で内山 理事長からは,「メカトロニクス技術は日本の産業の発展と国民の幸福に具体的に寄与することが求められている。この観点からも当財団では研究テーマを審査しているが,採択された研究テーマは選りすぐりのものと言える。これまで助成させて頂いた多くの研究が,論文として学会誌に,あるいは国際会議に発表され,また他の研究者に広く引用されるなどして,メカトロニクス技術の高度化に大きく寄与したものと考えている。助成事業を通じて社会に貢献し,我々の夢を形にしていくことが出来れば,これほど喜ばしいことはない」と挨拶し,各助成対象者へ交付証が授与された。
その後懇親会が催され,来賓の経済産業省や各教育機関の関係者,NSK社員,助成対象者などが集まり盛会となった。(’24 3/27)