日本トライボロジー学会 会員提案研究会(旧第3種研究会)のメンテナンス・トライボロジー研究会(主査:本田 知己 氏,福井大学)は,2022年3月10日(木),オンラインにて第97回研究会を開催した。
メンテナンス・トライボロジー研究会は,動機械システムのメンテナンスをトライボロジーの視点からみて,故障や異常の原因の解明,それらへの対応などについて情報交換を行うこと,また,メンテナンス技術を学問として確立し,工学・技術分野の総合的な発展に寄与することを目的として活動を行っている。今回は,研究会メンバー以外も参加し,オープンな研究会として開催された。
同研究会主査の本田 氏,歴代主査の木村 好次 氏(東京大学・香川大学 名誉教授)と似内 昭夫 氏(トライボロジーアドバイザー),さらに,川合 忠雄 氏(大阪市立大学),陳山 鵬 氏(三重大学)による挨拶の後,若林 利明 氏(香川大学)が「環境に優しい潤滑技術とトライボロジーの役割」のテーマで,低摩擦エンジン油をめざした添加剤技術の最適化や,切削油剤からみた環境対応加工として塩素フリー切削油や生分解性エステルを用いたMQL加工等について講演。「環境に配慮した製造技術とは,潤滑油を一切用いないプロセスではなく,潤滑油を使用することで高能率化や高精度化が図れ,全体として環境に優しい製造技術となりえる。それにまさしく必要なのが,トライボロジー的視点による環境に配慮した潤滑油の開発・検討である」と述べた。(’22 3/23)