京都大学病院薬剤部および同リウマチセンター(以下,京都大学)の米澤 淳 博士・橋本 求 博士らと島津製作所の研究グループによる関節リウマチの治療効果判定基準の開発研究に関する論文が,米学術誌「PLOS ONE」に掲載された。
同社は2017年から自己免疫性疾患治療における最適な抗体治療法の開発に京都大学と共同で取り組んでおり,今回の成果は、関節リウマチや炎症性腸疾患など多くの慢性的な免疫性疾患治療における,質量分析モニタリング技術を応用したものとなる。同社は,質量分析および抗体医薬分析キット「nSMOL Antibody BA Kit」などの技術を用いて,炎症性シグナル阻害剤インフリキシマブの血中濃度分析を担当した。
今回の研究では,日本人関節リウマチ患者のデータベース(KURAMAコホート)を用い,実治療でのインフリキシマブ効果基準値を開発。血中インフリキシマブ濃度をモニタリングすることで,治療中の効果低下患者群を特定し,その後の適切な治療法の判断基準を提供する可能性を示した。関節リウマチを含む自己免疫性疾患は,長期の薬物治療管理を必要とするため,適正な使用法の基準を明確にすることは,患者負担および医療費の軽減の面で社会貢献につながる。(’21 11/24)