2020年10月7日

トライボコーティング技術研究会,特別シンポジウムと岩木賞贈呈式が開催される

アーステック

トライボコーティング技術研究会(会長:大森 整 氏,理化学研究所)は,2020年8月28日(金)に理化学研究所和光研究所 鈴木梅太郎記念ホール(埼玉県和光市)で,第22回シンポジウム「トライボコーティングの現状と将来―ナノダイヤモンド応用技術,微細構造コーティング技術,AI援用加飾成型技術―」を開催し,第12回岩木トライボコーティングネットワークアワード(岩木賞)の贈呈式と,受賞者の記念講演を行った。

岩木賞は,表面改質,トライボコーティング分野で多大な業績を上げられた故 岩木 正哉 博士(理化学研究所元主任研究員,トライボコーティング技術研究会前会長)の偉業をたたえ,当該技術分野およびその関連分野において日々努力・研鑽する個人,法人,団体の業績を表彰するもの。第12回岩木賞を受賞したのは以下の3件で,賞状,盾が授与された。

  • 岩木賞大賞・事業賞
    「2.6nm爆轟法ナノダイヤモンド分散粒子の生産技術の確立とナノダイヤモンドの事業化」
    大澤 映二 氏(ナノ炭素研究所 代表取締役(豊橋技術科学大学名誉教授))

    ダイヤモンドは地球上で最も優れた工業材料であるが硬すぎて加工や細工が出来なかった。独自プロセスの考案により2.6nmナノダイヤモンド粒子の生産,ナノダイヤモンドをコーティングや加工油への分散など実用化を実現したことが評価された。オンラインでの参加となった大澤 氏は「ダイヤモンドという地球上で最高の素材は加工が難しく使われずに残念に思っていた。ナノダイヤモンドはナノテクの礎石としての意義を持つ可能性がある」と述べた。

  • 岩木賞特別賞
    「微細ラティスコーティング技術の開発」
    前花 英一 氏(コマツNTC),水谷 正義 氏,厨川 常元 氏(東北大学)

    モノとモノとの界面を設計する機能性インターフェース創成方法の新たな提案をした。微細ラティスコーティングの実現のため重力落下式粉末供給法のほかに,(1)造形の微細性,(2)自由なデザインのラティス構造,(3)バルク材曲面上に造形を実現したことが評価された。前花 氏は「建設機械メーカーコマツの子会社として工作機械を取り扱っている。3Dプリンティング技術に関連する微細ラティスコーティングは技術はおもしろいと言って貰えるものの実用化が進んでいない。今回の受賞を機に皆様のアドバイスなどをいただけるとありがたい」と述べた。

  • 岩木賞事業賞
    「加飾成型用金型の製造技術ならびにAI援用技術に基づくIoT化事業」
    松本 晋一 氏(IBUKI 代表取締役社長)

    微細で複雑な加飾成型用金型分野で熟練者の勘やノウハウをAIに着目し事業化,IoT機能を持った金型を活用して技術伝承を行い,そのノウハウを地場の活性化に生かす事業などが評価された。松本 氏は「名誉ある賞を頂け光栄です。何よりもがんばった一人一人の社員の自信につながります」と述べた。

岩木賞受賞者による記念講演のほか,ATF(Advanced Tribo-Fair)2020技術展示会も開催された。島貿易,東京電子,ナノフロンティアテクノロジー,池上金型工業,オプトスター,メカニカル・テック社が出展し,技術を科学する”テクニストガール“こと声優の明里 瞳 氏の司会進行の元,展示企業のテクニカルプレゼンテーションが行われた。(’20 9/7)

受賞者の記念写真
技術展示会での島貿易

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