日本機械学会は2025年10月10日（金），ウインクあいち（名古屋市中村区）で「状態監視振動診断技術者コミュニティ第15回ミーティング」（主査：渡部 幸夫 氏，元 日本精工）を開催した。
2004年にスタートした「ISO18436-2準拠 機械状態監視診断技術者（振動）」資格認証制度は今年で22年目を迎え，2025年8月時点の試験合格者は，カテゴリ I 880人，カテゴリ II 5,163人，カテゴリ III 568人，カテゴリ IV 38人となっている。
また2009年に開始した「ISO18436-4準拠 機械状態監視診断技術者（トライボロジー）」は，カテゴリ I 1,287人，カテゴリ II 279 人，カテゴリ III 14人となっている（表1，2）。
（2004年度第1回～2025年度第1回）
（2009年度第1回～2024年度第1回）
同資格は診断技術に特化したものであり，これまでに類のない資格として，設計技術者，保全技術者から高度専門家まで，また重工業・回転機械製造，エンジニアリング・メンテナンス産業，石油，化学，鉄鋼，電力，ガスなど多岐にわたる産業分野の技術者が資格を取得している（図1，2）。
それぞれ振動診断技術という共通の技術に携わる技術者が異なる業種にある技術者同士の技術交流，情報交流，情報交換には新たなヒントを得る貴重な機会であり，技術力の向上に役立つことから，機械状態監視診断技術者のコミュニティの場として，また資格取得者に対するフォローアップの場として毎年開催している。
15回目となる今回は83人が参加し，同コミュニティ幹事の日隈 幸治 氏（東芝エネルギーシステムズ）が司会進行を務め，渡部 主査による挨拶とコミュニティの活動報告の後，2件の特別講演が行われた。榊田 均 氏（元 東芝）は「機械の状態監視と診断に関するISO規格の現状と動向」と題し，機械の状態監視と診断に関するISO国際規格の現状と，今後の動向について概説，塩沢 歩 氏（ジャパン・アナリスト）は「振動とオイル分析の相互補完について」と題し，振動解析とトライボロジーは機械状態の把握において相互補完関係があることからトライボロジーへの理解と関心を深める内容を提供した。
JFEアドバンテック，旭化成エンジニアリング，トライボテックスの3社による機器展示のプレゼンテーション，カテ IV合格者の事例紹介として，國竹 和樹 氏（旭化成エンジニアリング）が「サイクロ減速機の振動診断事例」と題し，化学プラントの撹拌機での異音や異常振動の発生状況，原因分析，対策について事例紹介した。
その後，恒例の事前Eメール受付による振動相談が90分間行われ，（1）楊重装置の診断方法（2）歯車ポンプの振動要因について（3）密閉モータの軸端軸受の診断方法（台座設置位置）変更について（4）シロッコファンの振動対策（5）ソフトフット（猫足）取付け脚の確認／対策方法は？（6）無線振動計設置後の計測評価，の6件の質問に対して参加者による回答や技術討論が活発に行われた。
なお，次回第16回ミーティングは2026年10月9日（金）に東京で開催する予定。今回のミーティングの資料やこれまでのカテゴリ IV合格者の講演資料などは，日本機械学会の「振動技術者コミュニティ」のホームページ（https://www.jsme.or.jp/conference/joutai/）に詳しく紹介している。
○機械状態監視診断技術者（振動／トライボロジー）
資格認証試験についての問い合わせ先
日本機械学会 事業企画グループ
TEL 03-4335-7616 FAX 03-4335-7619
E-mail joutai@jsme.or.jp
URL https://www.jsme.or.jp/jotaiweb/ （’25 11/12）
