日本工作機械工業会(日工会)は2025年1月9日(木),都内ホテルで「2025年日本工作機械工業会新年賀詞交歓会」を開催した。
冒頭,稲葉 善治 会長(ファナック 取締役会長)(写真)は「昨年日本の工作機械市場は一進一退をしながらも当業界としては比較的高い水準の受注を維持できた。この結果2024年の工作機械受注総額は1兆4700億円前後と見込む。また昨年11月には我が国工作機械業界最大のイベントであるJIMTOF 2024を開催し,日本の誇る最先端の工作機械やその関連技術を世界に向けて発信した。来場者数は前回比13%増となる12万9千人を数え,海外からの来場者数は前回比2倍強を記録するなど大変盛況となった。また学生と現役世代の合流の場を設け,来場者参加型の企画展示,国内外の技術者が集まる国際工作機械技術者会議や,全国の学生を招待して実施する工作機械トップセミナーなど数々の企画を通して来場者の皆様に工作機械と製造業の明るい未来を感じていただけたものと考える。
2025年世界の産業界ではDX・GXを核とするイノベーションは止まることなく,人材不足や人件費高騰に対しては自動化と高効率化で対応し,熟練技能者の減少を担うためには生産設備の知能化やAI機能の開発が考えられる。また,現代社会に求められるデジタル革新,環境性能の向上,生産拠点の多極化などが促進されるなど,近年の工作機械需要を牽引している背景に変化はないと考えており2025年の工作機械受注総額は1兆6000億円と見通す。デジタル,グリーン,レジリエンスに加え工作機械産業ビジョン2030で示された日本流の産学官連携体制を作るための議論を進め,カーボンニュートラル実現に向けた省エネ,将来有望な重要産業動向の調査研究などを推進し会員各社が共通する協調領域の進化拡大を引き続き進める。さらに工作機械トップセミナーによる学生へのアプローチや,工作機械業界の若い技術者の育成プログラムの実施などにより,少子高齢化時代に対応した人材確保を推進する。
日本の工作機械業界は,世界最高の性能と信頼性を誇るモノとしての工作機械の供給を通じてコトづくりを支え,日本を中心に世界の製造業に貢献したい」と述べた。(’25 1/22)