金属加工機械の総合メーカーであるアマダグループは,2024年5月17日から約1ヵ月間,神奈川県伊勢原市の本社内にあるアマダ・グローバルイノベーションセンター(AGIC)で,新たなマシンやソリューションを披露し各種セミナーを開催した。
特別セミナー開催に先立ち,5月16日には報道関係者にアマダグループの事業戦略,Innovation LABOの事例や新商品の紹介,AGICの見学などのイベントを開催した。
AGICは2023年2月に開設し,世界中からユーザーをはじめ大学や学会,官公庁など多くのステークホルダー約5,000社,10,000名が来場した。「お客さまとともに金属加工の未来(あす)を共創する空間」というコンセプトでInnovation LABOやInnovation SITEなどで構成されている。
Innovation LABOは,最新のソリューションを常備したラボルームと,先端検査機器を設置した測定室で,ユーザーが抱える様々なモノづくりの課題をユーザー自らがアマダの技術スタッフとともに加工検証し,その場で加工品質を確認できる。
またInnovation SITEは,「何ができるからなぜできる」をコンセプトに,アマダが持つ要素技術と最新テクノロジー(機構や構造)の開示により,機能や加工の技術的根拠を中心に体感・体験できる展示ゾーン。
ユーザー専用のラボスペースであるInnovation LABOでは,多様化する素材への対応や,形状,加工方法などの見直しによる工法改革に対する相談が多く,中でもレーザ・溶接技術の適用やEV関連部品の工法改革が注目を集めている。
1年間で約100件の加工テーマを検証してきたが,自動車関連35%や大手メーカー19%と新たな顧客開拓に繋がっている。検証内容では工法改革が56%,加工課題の解決が26%とモノづくりの改善が約8割。工程別では溶接に関する案件が66%と多い。従来の溶接工程はアーク溶接が中心となっており,労働者不足による技能伝承や自動化が課題となっている。Innovation LABOでは生産効率の向上,高品位加工,加工位置の自動調整といったニーズに対しこれまで培ってきたレーザ技術,高速スキャナ制御技術,AI処理技術を応用することにより新たなモノづくりに取り組んできた(岸本 和大 氏・イノベーションセンター長)。
山梨 貴昭 氏(代表取締役執行役員)は「2030年の長期ビジョンとして,レーザ・溶接技術による新領域の拡大,グループシームレス拡大,新商品シェア拡大の3つのビジョンを掲げラボやグループの技術も活用して顧客に貢献し,eモビリティや半導体,医療などの成長産業での事業拡大を目指します。アマダグループには板金 約24,000社,微細溶接 約7,000社,切削・研削盤 約39,000社,プレス 約1万社と国内には約6万3,000社の既納入のお客様がいます。グループ一体となった提案を国内だけではなく海外でも展開し,今まで以上に一層進めることで成長領域に参入するとともにお客様のモノづくりをトータルでご支援します」と事業戦略について語った。(’24 6/19)