出光興産は,神戸大学発のベンチャーで,先端バイオテクノロジーを有するバッカス・バイオイノベーション(以下,バッカス社)へ出資したと発表した。両社は今後,バイオ燃料やバイオ化学品などの生産に活用可能なスマートセルの開発に取り組む。スマートセルは,遺伝子改変技術と情報解析との組み合わせにより,目的物生産量を最大化した生物・細胞。
近年,バイオテクノロジーと再生可能な生物資源等の利活用による持続可能な経済社会の実現を目指す動きが加速している。こうした中でバイオとデジタルとの融合技術が産業分野へ応用されている一例が「微生物を利用したものづくり」である。この取り組みは,バイオマス,CO₂などの原料活用が可能で,持続可能な社会へ寄与できる技術とされ,有用物質の大量かつ高効率な製造を可能とするスマートセルを鍵として,さらなる開発が期待されている。
出資先のバッカス社は,最先端のスマートセル開発技術を保有し,遺伝子の設計から微生物の育種,生産プロセスのスケールアップまで一括したサービスの提供を行う。今回の出資を契機に,出光はバッカス社と2023年度下期をめどに共同開発契約を締結し,バイオ燃料やバイオ化学品などの生産に活用可能なスマートセルの開発を協働で行っていく。(’23 6/21)