関西潤滑懇談会は1955年10月潤滑技術の向上を目的に,関西地区の学界,業界の研究者により発足。2025年に創立70周年を迎え,2025年11月14日(金)関西大学 梅田サテライトキャンパス(大阪市北区)にて「関西潤滑懇談会 創立70周年記念 総会・特別講演」を開催した。
総会では2024年度の事業報告や新年度の役員選出と事業計画などを発表,理事長の谷 弘詞 氏(関西大学 教授)(写真1)の挨拶の後,特別講演と懇親会を開催した。
特別講演会は,会場に50名,オンラインは最大で65名が参加した。
特別講演会では,東﨑 康嘉 氏(近畿大学 教授)(写真2)が「企業と大学で経験した潤滑研究」と題し,企業(三菱重工 長崎研究所など)で27年間,大学(近畿大学)で13年間経験した潤滑研究について紹介した。企業での研究は,応用研究や製品開発が中心であり,顧客ニーズに直結した技術開発やスピードが重視されるのが特徴。一方大学での研究は,基礎研究が中心で自由度が高い一方,スキルのある学生実験者の確保が困難であるため知恵が必要になるなどこれまでの研究事例などを紹介した。
次に森 誠之 氏(岩手大学 名誉教授)(写真3)は「潤滑膜を赤外線で見る」と題し,潤滑現象の動的な側面をその場観察する手法として,赤外線(IR)分光法を用いた研究を紹介した。
最後に秋田 秀樹 氏(日立建機)(写真4)からは「建設機械におけるトライボロジーの役割」と題し,建設機械におけるトライボロジーの重要性,過酷な作動環境下での課題と対策について講演した。
特別講演会の終了後,副理事長の阿保 政義 氏(兵庫県立大学 教授,写真5)は,2年後の2027年にITC姫路(国際トライボロジー会議)のサポートを行うと発表した。ITC姫路実行委員長の鷲津 仁志 氏(兵庫県立大学 教授)からは,会場が姫路駅から徒歩圏内という国際会議場として非常にレアな立地であること,前回大会(福岡)の成功を受けて,今回は企業展示の規模を拡大し,「トライボ祭り」にしたいと述べ,企業展示を成功させるためには関西潤滑懇談会のパワーを借りる必要があると協力を呼びかけた。
関西潤滑懇談会の概要
関西潤滑懇談会は,潤滑技術の向上を目的に1955年に関西地区の学界,業界の研究者により初代理事長 佐々木 外喜雄 氏(元 京都大学 教授)が設立,「門戸を広く開き,参加したい人は誰でも来てもらう」,「学会発表ではなくて啓蒙的なことを原則とする」を運営方針に活動してきた。
1955年10月,東京,九州地区,東海地区に続いて関西地区に潤滑懇談会として創設されたが,1956年4月にはこれらの潤滑懇談会を核として,日本潤滑学会が設立した。東京,九州,東海の潤滑懇談会はこの設立された日本潤滑学会に合流したが,一方で関西潤滑懇談会は独自の組織として今日まで日本潤滑学会(1992年に日本トライボロジー学会と改称)との緊密な協力関係を保ちながらも独立した組織として運営されてきた。
関西潤滑懇談会の活動内容
軸受,歯車その他の潤滑全般に関するトライボロジーの諸問題について最新技術の発信や収集,情報交換を行い,潤滑技術の向上を図ることを目的に講演会,見学会,ポスター発表会,入門講座など,企画担当幹事が趣向をこらしながら年間で7回開催している。
会員と歴代理事長・事務局
2025年度(2025年10月1日~2026年9月30日)は,名誉顧問に矢部 寛 氏(京都大学 名誉教授),森 淳暢 氏(元 関西大学 教授),林 和宏 氏(大阪産業大学 名誉教授),小笹 俊博 氏(大阪電気通信大学 名誉教授),東﨑 康嘉 氏(近畿大学 教授),理事長に谷 弘詞 氏(関西大学 教授)が就任し,2025年11月時点の会員数は,個人会員(学界,企業研究者)が56名,特別会員(企業)が34社となっており,大学・研究機関や潤滑剤,軸受,シール,電気などの需要家企業が参加している。
また,ジェイテクト,出光NTG,NTN,MORESCOが交互に事務局を務めている
<お問い合わせ先>
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- 関西潤滑懇談会 事務局
〒650-0047 神戸市中央区港島南町5-5-3 株式会社MORESCO 気付
TEL:078-303-9133 FAX:078-303-9024
E-mail:kansai-jyunkatsu@moresco.co.jp
URL https://kjyunkon.org/ (’25 12/24)








