出光興産は,2027~2028年の全固体リチウムイオン二次電池(以下,全固体電池)の実用化を目標に,全固体電池の材料となる固体電解質の大型パイロット装置の基本設計を開始した。生産能力は年間数百tを予定しており,世界でもトップクラスの生産規模となる。最終投資決定(FID)は2025年中を見込み,完工は2027年を目指す。
同社が手掛ける固体電解質は,石油製品の製造過程で副次的に発生する硫黄成分を原料としている。同社は硫黄成分の有用性を1990年代半ばから見出し,長年にわたって培った研究力と技術力によって,固体電解質の開発に成功した。固体電解質の量産化へ向けた技術開発は,NEDOの「グリーンイノベーション基金事業/次世代蓄電池・次世代モーターの開発」のひとつとして採択されている。
また,同社は固体電解質の原料となる硫化リチウムの製造能力強化についても2024年度内決定を目標に準備を進めており,原料から製品まで一貫したサプライチェーンの構築を進め,全固体電池の社会実装を目指していく。(’25 1/8)