切削油技術研究会は,2024年12月6日(金),アルカディア市ヶ谷(東京都千代田区)にて「第83回切削油技術研究会総会」を開催した。
同研究会は1954年の創設以来70年間,生産現場に立脚した加工技術者の集団としてユーザー,工作機械,工具,切削油など企業間の壁を超え,それぞれの現場で得た知識やノウハウを持ち寄り,独自の共同調査・実験を重ねてきた。そのデータを採ることで議論を深め,製造現場に有用な知見を提供するとともに,「穴加工皆伝」「研削加工皆伝」「切削油剤ハンドブック」「ミーリングハンドブック」などの刊行物も発刊し加工技術の向上に貢献している。
創立70周年となる今回は,「『機械加工技術の将来展望』と『切削油剤の使用・選定方法の提言』」と題して,アンケートにより切削加工現場が取り組むべき課題を調査した結果から,この10年間の機械加工技術の振り返りと将来展望を示し,研究テーマの要望が高かった「切削油剤」を対象として,「切削加工現場の切削油剤の使用実態と課題」を調査・報告し,「切削油剤のかけ方を変えて加工面粗さを向上する方法」,「旋削と転削(エンドミル加工)において切削油剤の1次性能と工具摩耗との関係」,「切削油剤を選定するための簡易評価手法」の3つの実験結果を報告した。
また特別講演では,量子科学技術研究開発機構の加道 雅孝 氏が.「国内初の第4世代放射光施設NanoTerasuとは~ナノの世界を明るく照らす巨大な顕微鏡~」と題し,世界最高水準の先端研究施設である高輝度放射光施設NanoTerasuについて紹介した。(’25 1/8)