エボニックは,過酷な環境での優れた摺動特性と,高い耐久性を持つPEEKコンパウンド(ポリエーテルエーテルケトン)を開発した。このPEEK樹脂ベスタキープ®製のギヤが,金属ギヤの代替として,メルセデス・ベンツのエンジン内部のマスバランスユニットに採用された。この用途における,熱可塑性樹脂は初採用となる。
マスバランスユニットは,ピストンによる振動を低減し,快適な運転環境を実現するが,ユニット内のギヤはエンジンオイルに浸漬し,最高130℃の温度にさらされるため,これまでは金属ギヤのみが使用されてきた。高い耐熱性を持つベスタキープ®PEEK 5000 Gは,高い機械物性,振動減衰や優れた摺動特性を併せ持つため,金属ギヤの代替に最適な材料の一つであり,金属ギヤと比較してより高い静粛性,省燃費を実現できる。また,ベスタキープ®PEEK製ギヤは射出成形で製造できるため,研磨などの二次加工の必要が無く,金属ギヤに比べ,大きなコストダウンが可能となった。(’21 4/6)