ランクセスは2020年4月15日(水),2020年度の活動に関する記者説明会を開催した。当日は新型コロナウイルス拡大予防のため緊急事態宣言が発令されており,オンラインでの開催となった。
会見で張谷 廷河 社長は,厳格な衛生基準や,感染のリスクが高い地域への出張の停止または大幅削減などの安全策を講じながら,中国の全製造拠点は再び稼働を開始したことを報告。
さらに,2019年度の事業について「困難な経済環境の中にありながら収益の向上を実現し,通期連結売上高(グローバル)は68億ユーロを達成した。有機金属事業の再構築の完了とともに,合弁会社カレンタの株式40%の売却に加え,皮革用化学品ビジネスユニットの売却,ブラジルのバイオサイドメーカーの買収など特殊化学品に注力する再構築の年」と振り返った。
2019年度業績(グローバル)は,連結売上高68億200万ユーロ(前年と同水準/日本円:約8160億円(1ユーロ120円で換算)),EBITDA(利払い・税引き前・減価償却前利益)10億1,900万ユーロ(同3.3%増/同:約1,223億円/特別項目を除く)を達成した。純利益は,有機金属事業の再構築に関する特別費用を計上したため2億4,000万ユーロ(同15%減/同約288億円/同)となった。EBITDAマージンが設立以来初の15%増を達成した要因として,「アドバンスト中間体」「スペシャリティアディティブス」「パフォーマンスケミカルズ」「エンジニアリングマテリアルズ」の4部門のうち,自動車業界の需要低迷の影響を受けた「エンジニアリングマテリアルズ」以外の3部門が好調に推移し,とりわけ「パフォーマンスケミカルズ」部門の収益が前年比23%増の伸びを見せたことをその要因として挙げた。
日本においても好業績を維持し,売上高は約3億1,000万ユーロ(同:約372億円)を達成。4部門のいずれも前年同水準かそれ以上を確保している。
2020年度ついては,新型コロナウイルスの影響が通期における業績に5,000万ユーロから1億ユーロに及ぶと見積もっている。それでも,成長軌道を推進するため,部門の再編を実施し「コンシューマープロテクション部門」を新たに設立し,農業および医薬品業界向けの活性成分,虫よけ剤および消毒剤向けの活性成分,そして水処理および液体処理技術などを中心に事業を添加するほか,筐体や電解液,保護用難燃剤などのバッテーリー関連の製品供給といった“ランクセスの強み”を生かした分野での躍進をめざすという。
日本においては,酵母,真菌類およびバクテリアに対して,非常に殺菌効果の高いユニークな清涼飲料水・ワインなどの果実酒向け殺菌料「べルコリン®」の販売を予定している。さらに,環境にやさしい新しいモビリティ分野の開発パートナーとして,軽量化,超軽量化デザインのサポート,エンジンルーム構造部材およびパワートレイン部材向け素材の開発・提供,電気自動車向け製品ソリューションの提案などを果たしていくことが2020年度の活動計画として発表された。(’20 6/10)