日本トライボロジー学会産学協同研究会の「添加剤技術研究会」(主査:益子 正文 氏,東京工業大学)は,2017年11月29日(水)~30日(木)の2日間,笹川記念会館(東京都港区)で企画講座「潤滑油基材の基礎と最新動向―基油・添加剤技術の今を学ぶ―」を開催,自動車メーカー,潤滑剤メーカー,添加剤メーカーや商社など120名を超える参加者となった。
同研究会では,これまで添加剤の基礎知識やZnDTP代替添加剤,タービン油,油圧作動油,加工油剤,グリースに関する添加剤・基油技術の最新動向を始め,「添加剤技術はILSAC GF-6規格にいかに貢献できるか」とした自動車の省燃費エンジン油に関して添加剤メーカーへの期待や添加剤の最新技術動向などの企画講座を開催し,会員企業に留まらず広く最新技術を紹介してきた。
5回目となる今回の企画講座では,初めての試みとして2日間の講座とし,潤滑油製品を製造する際不可欠となる基油と添加剤の両方に焦点を当て,今後潤滑油へのさらなる省燃費化,低粘度化,長寿命化などの要求に応えるための基油や添加剤の需給・技術動向を紹介した。また初日の講演後には技術交流会が行われ,講演内容や技術動向などについて活発な意見交換が行われた。当日のプログラムは以下の通り。
プログラム:
<1日目>
- 「開会の挨拶と添加剤技術研究会の紹介」 主査 益子 正文 氏(東京工業大学)
- 「潤滑油用基油の需要と供給最新動向」 足立 之彦 氏(クライン ジャパン リミテッド)
- 「Technical Trend of Gr-III Base Oil」 Mr. Hak Mook Kim(SK Innovation Co., Ltd,)
- 「GTL基油の動向」 鎌田 久美子 氏(シェルルブリカンツジャパン)
- 「Future Directions in Polyalphaolefin Technology」 Mr. Kee Seng Lau(INEOS Oligomers)
- 「ナフテン系基油の動向」 佐野 茂 氏(ニーナス ジャパン)
- 「エステル系基油の動向」 上野 慶子 氏(クローダジャパン)
- 「ポリアルキレングリコールの技術動向」 長谷川 和行 氏(ダウ・ケミカル日本)
- 特別講演「アジア市場におけるベースオイル開発とエンジンオイル品質向上への期待」 平野 聡伺 氏(トヨタ自動車)
- 特別講演「潤滑油の高性能化に向けて添加剤技術に期待すること」 森 誠之 氏(岩手大学 名誉教授)
- 「清浄分散剤の基礎と役割」 田中 修一朗 氏(アフトンケミカル・ジャパン)
- 「摩擦調整剤・油性剤」 山本 賢二 氏(ADEKA)
- 「イオウ系添加剤」 松枝 宏尚 氏(DIC)
- 「酸化防止剤・防錆剤」 渡邉 亨 氏(BASFジャパン)
- 「Viscosity Index Improvers」 鈴木 康善 氏(日本ルーブリゾール)
- 「低温流動性向上剤」 井上 保明 氏(エボニック ジャパン) (’17 12/20)